ファッション

ベルリンのリュクスなストア「ザ・スクエア・ベルリン」が大改装 退廃的、無機質、グレーな街と一線を画す

 退廃的、無機質、グレーもしくはブラック。ベルリンをイメージする時、よく使われる表現だ。確かにベルリンはお世辞にもキレイとは言えない落書きだらけの街だが、中世ヨーロッパの街並みを思わせる美しいエリアも存在する。ウンター・デン・リンデン通りは、王室や貴族の散歩道だった菩提樹の並木道を意味し、ベルリン大聖堂やベルリン国立歌劇場といった歴史的建築が立ち並ぶ。

 その一角にあるのが、今回紹介する「ザ・スクエア・ベルリン(THE SQUARE BERLIN)」だ。同店は、主にハイエンドなブランドを取り扱うコンセプトショップ「ザ・コーナー(THE CORNER)」として2008年にオープン。23年1月に店名も含め、大規模なリニューアルを行った。700平方メートルを誇る店内は、白を基調とした開放的な空間。ピエール・オーガスティン・ローズ(Pierre Augustin Rose)のソファやニコラス・ルフェーブル(Nicolas Lefebvre)の彫刻が存在感を放つ。

 ファッションだけでなく、家具やインテリア雑貨も含めたライフスタイル全般をコンセプトに取り入れたかったと語る創設者のエマニュエル・デ・バイザー(Emmanuel de Bayser)にリニューアルの経緯からデザイン、セレクト、ビジョンなどについて尋ねた。

WWDJAPAN:大々的なリニューアルを行った理由は?

エマニュエル・デ・バイザー創業者(以下、エマニュエル創業者):15年以上に渡り、ファッションブランドをメーンとしたコンセプトショップを運営してきたが、ビジュアルコンセプトとショッピング体験を根本的に変えたいと思った。以前のブルータリズムやインダストリアルな雰囲気から、シックなアパートメントのロフトに家具を完備した新鮮な空間に変更した。金属の生々しさや鋭い直角のイメージから柔らかいファブリックと自然で有機的なデザインへと変更し、全く新しい感覚の店舗として生まれ変わらせた。ずっとそこに滞在したくなる、夢のような家をイメージした。またアートやデザイン、家具、ホームオブジェ、書籍、コスメなど総合的なセレクトで、新しいショッピング体験を提供したいと考えた。店舗サービスも、新しいショッピング体験には重要なポイント。ショッピング中のお客さまには「心から歓迎され、大切にされている」と感じてもらいたいと思った。

WWDJAPAN:顧客の反応は?

エマニュエル創業者:予想以上の素晴らしい反響を頂き、とても嬉しい。アートエキシビジョンのように展示されている彫刻から、ピエール・オーガスティン・ローズのソファ、「リック オウエンス(RICK OWENS)」のホームアクセサリーなど、店内に入ればすぐに新しいコンセプトのエッセンスが感じ取れる。あらゆるジャンルの商品を取り揃えることで、さまざまなライフスタイルを一カ所で堪能できる。現代のニーズに応えることができた。

WWDJAPAN:リノベーションで最もこだわったところは?

エマニュエル創業者:広大なリビングスペースとショッピングスペースを融合すること。この2つをバランスよく融合させ、空間に自然な流れが生まれるデザインや配置にこだわった。と同時に、どちらか一方のスペースに圧倒されてしまわないよう落ち着ける空間作りを意識した。

WWDJAPAN:商品の中に自然と配置された彫刻家ニコラス・ルフェーブルの作品が印象的だ。

エマニュエル創業者:彫刻は高尚な空間で非常に機能的な役割を果たす立体アート。商品と同じ空間に置かれた作品たちは、非常にインパクトのある存在感を放っている。

WWDJAPAN:観光名所としても有名なジャンダルメンマルクトに店舗を構えている。観光客はコロナ前と同じぐらいに戻っている?

エマニュエル創業者:1年前からツーリストの数は確実に戻っている。近隣の観光名所も含め、完全に復活したと言えるだろう。ベルリン王宮の再建でエリアとしても完成を遂げた。新しくダイナミックなエネルギーが集まっているミッテ地区の一部であることを嬉しく思っている。

WWDJAPAN:一番人気のあるブランド、売れ筋アイテムは?

エマニュエル創業者:人気ブランドを1つに絞るのは難しいが、現時点でのトップ5は、「ディオール(DIOR)」「セリーヌ(CELINE)」「ロエベ(LOEWE)」「サカイ(SACAI)」「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」。今の売れ筋は、すぐに完売してしまった「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の新作バッグや「サンローラン(SAINT LAURENT)」のジャケットとバッグ、「リック オウエンス」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の靴、「アライア(ALAIA)」や「コペルニ(COPERNI)」のドレスなども人気だ。ベルリンの若者には、「ジャックムス(JACQUEMUS)」「AMI PARIS(アミ パリス)」「ディーゼル(DIESEL)」求めて来店する人が多い。

「ザ・スクエア・ベルリン」
住所:Französische Str.40 10117 Berlin, Germany
電話:+49(0)30 20649610

PHOTOS:MARK SEELEN
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