ファッション

レイア姫も着用のフィンランド発ジュエリー「カレワラ」を選ぶ理由 自然・環境への配慮と利益の3分の1をチャリティーに寄付

 フィンランド発ジュエリー「カレワラ(KALEVALA)」が2022年秋、日本に上陸した。「カレワラ」とは、フィンランドの民族叙事詩のことで、初版発行から100周年の1935年に女性作家のエルサ・へポラウタが創業。自然を感じさせる有機的で他にはないデザインが魅力で、フィンランドのサンナ・マリン(Sanna Marin)第46首相をはじめ、オノ・ヨーコなどが着用。1970年代の映画「スターウォーズ」では、レイア姫のネックレスに「カレワラ」が採用されている。日本では、公式ECで販売中だ。

 「カレワラ」の魅力は、デザイン性だけではない。創業時から貫かれるその徹底した企業姿勢にある。通常、ジュエリーブランドというと、マーケティングの一貫としてインフルエンサー起用、SNS発信などでブランドを知ってもらい、商品を手に取ってもらうという戦略が多い。「カレワラ」は、マーケティングとは相反するコミュニケーションを取っている。創業以来受け継がれるキーワードである“女性”“チャリティー”“サステナビリティ”に真摯に向き合い、企業活動を行っている。

創業時から続くチャリティー精神

 多くの企業が近年CSRの一貫でチャリティーに協力しているが、カレワラは、創業時に遡る。ジュエリーブランド創業の目的は、叙事詩「カレワラ」に登場する女性を讃える銅像をつくることだった。その銅像建設委員会の活動を引き継いだカレワラ女性協会が今でも「カレワラ」の所有者だ。1939年に戦争が勃発したため、銅像建設は一時中断。それまで集まっていた資金は、戦争被害にあった女性や子どものために使用された。それ以来、チャリティーはカレワラの企業活動の一部として継続している。毎年利益の3分の1をチャリティーおよび自社スタッフの福利厚生に充てている。

女性による女性のための企業活動

 カレワラは女性が立ち上げ企業。その創業時からの女性を支援する精神は代々受け継がれている。同社は創業以来、フィンランドを代表する企業として1980年代の一時期を除き女性が運営。2019年に最高経営責任者(CEO)に就任したキルシ・パーッカリは、8代目の女性トップだ。1960年代にデザインは男性の領域だったが、ファッションアーティストのパウラ・ハイヴァオヤをデザイン責任者に起用するなど女性の活躍できる場をつくった。

 カレワラは、チャリティー面でも女性をサポート。ケニアの村マコンゲニにカレワラトレーニングセンターを設立し、年間190人の弱い立場に置かれた16~25歳の女性に理髪、裁縫、情報処理のトレーニングを提供している。また、フィンランドの全国障害者協会であるルセッティと協業でデジタルプラットフォーム「障害のある少女」を立ち上げ、イベントなどを通して障害のある女性を支援するなど、活動の場を広げている。

リサイクル素材と自然の力で生まれるジュエリー

 カレワラの活動はクリーンエネルギーに支えられている。80人以上が働く工房では、LED照明を使用し、風力発電と屋上のソーラーパネルで自家発電した電気でまかなっている。また、ジュエリーの製作過程に出る排水を浄化して再生水を再び製造に使用し、水の使用量を削減するなど、徹底的に無駄を省き、環境に優しいエネルギーにこだわり、可能な限り循環させている。

 ジュエリーの素材についても、ゴールドは100%、シルバーは95%リサイクル由来のものを使用。シルバーもゴールド同様、100%リサイクル由来にすることを目標にしている。ジュエリーボックスや配送用放送には持続可能な森林資源であるFSC認証の段ボール素材を採用。

 あらゆる企業の課題である環境負荷の減少だ。カレワラの自社への設備投資は相当なものだと思う。このように、できるだけ使用するエネルギーは自社でまかない循環させるという姿勢がすばらしい。

 リサイクル素材にこだわり、循環エネルギーを使用してつくられたジュエリーは、とても美しい。

 ローンチイベントで来日したパーッカリCEOは、来場ゲスト一人一人に挨拶し、カレワラの企業ストーリーを説明。単なるジュエリーブランドの発表会とは違う、一歩踏み込んだ丁寧なプレゼンテーションは、新鮮かつ好感が持てた。環境や人に、実際貢献するジュエリーブランド「カレワラ」。私は、そのユニークな個性がある「カレワラ」のジュエリーをまといたいと思う。

 なぜなら、その美しさとオリジナリティー、そして、その企業姿勢が理由だ。

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