ファッション

「ファーフェッチ」のVIPイベントに潜入 顧客に聞く「外商よりも“近い”スタイリストとの関係」

 ラグジュアリーECプラットフォームの「ファーフェッチ(FARFETCH)」は10月末、東京本社でVIP顧客イベントを開催した。週末の午前中だったが、家族連れやカップル、友人同士の招待客が続々と来場。年齢は30〜40代といった感じだ。同プラットフォームのVIP顧客になる条件は年間150万円以上の購入者。VIP顧客はこのような特別なイベントへの招待やパーソナルスタイリストなどのサービスを受けることができる。

 このイベントで「ファーフェッチ」は、「マリーン セル(MARINE SERRE)」や「カサブランカ(CASABLANCA)」、「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」、「ジャックムス(JACQUEMUS)」など、日本に上陸していないブランドの2022-23年秋冬コレクションを中心にスタイリングして、ファッションショー形式で紹介。男女のモデルたちが、テーマ別のコーディネート12体を披露し、来場者の多くが動画を撮影していた。ショー後には、ショーで登場したルックのサンプルが用意され、試着をする人もいた。

 「ファーフェッチ」はECプラットフォームなので、購入するにはECにアクセスが必要だ。このイベントのために「ファーフェッチ」はQRコードの付いたルックブックを用意し、VIP顧客に提供。気になるルックの詳細が分かり、購入もできるという便利なものだ。「ファーフェッチ」の湯浅亜希クライアント・デベロップメント・マネジャー は、「コロナが落ち着き、装う喜びを伝えたいと思い、音楽とファッションを融合したイベントを企画した」とコメント。

“ここでしか買えない”や“ブランドミックス”が鍵に

 「ファーフェッチ」では、3月に2022年春夏コレクションのトランクショーを開催し、大きな反響があったという。湯浅マネジャーは、「今回のイベントでは、『ファーフェッチ』でしか買えないブランドを中心にミックスしたルックを作りあげた。異なるブランドのミックスができるのはわれわれならでは」と言う。「ファーフェッチ」のVIP顧客は、ファッションに対する好奇心が強く、新たなブランドとの出合いが購入につながるケースが多いようだ。また、パーソナルスタイリストのサービスも人気が高い。「『ファーフェッチ』が持つネットワークで、日本にないものを探すこともできるし、持っているアイテムとのコーディネートも提案できる。ネットワークを使って“欲しいを届ける”のがスタイリストの役割だ」と湯浅マネジャー。コロナ禍ではスタイリストからの提案が増え、VIP顧客との関係性が高まったという。

 「ファーフェッチ」では、VIP顧客のリアルイベントだけでなく、VIP顧客向けにスタイリストによる動画配信も毎週行っている。湯浅マネジャーは、「10~15分の動画で、コメントを残すこともできるし、購入もできるので好評だ。お客さまが出演して購入品を見せることもある」と話す。このように、オン・オフ両方でコミュニケーションを取ることでVIP顧客のエンゲージメントを高めている。

“いい意味でカジュアル”な接客が心地良い

 イベントに参加したVIP顧客である田屋和美さんに「ファーフェッチ」のサービスについて聞いてみた。田屋さんは金融系ディレクターで、 アメリカやイタリアなどでアート、建築、デザインを学んだバックグラウンドがあり、ファッションへの関心が高い。単なるトレンドだけでなく、デザイナーの意向やブランドの背景を理解してショッピングを楽しんでいるという。田屋さんは、「ファッションショーは新しいものやスタイリストによるスタイリングを見ることができる。担当スタイリスト2人は、友人のような存在。やはり顔が見えるイベントは楽しい」と話す。スタイリストとはインスタグラムやLINEでつながっており、田屋さんの状況を見ながらコミュニケーションしてくれるという。「百貨店やブティックの対応より、ずっと近い存在。『ファーフェッチ』のスタイリストは人間味があるし、ある意味カジュアルだけど気遣いもしてくれるので心地良くサービスが受けられる」。彼女は、ファッションはもちろんのこと、インテリアやオブジェ、アートブックなども「ファーフェッチ」で購入するそうだ。

 コロナ禍では、「ファーフェッチ」のアプリを見てストレス発散&商品を購入。「日本で買えないブランドが好きだし、複数のブランドを見て検討できるので便利。サイズ情報もきちんとしたものがあるので安心だ」と田屋さん。いろいろなブランドを見て気分でショッピングするという彼女の年間購入額は数百万円だという。購入頻度は月に1回、アプリは、週に2〜3回見るそうだ。田屋さんが「ファーフェッチ」を選ぶ理由は、日本に上陸していない幅広いブランドのラインアップやECの利便性はもちろんのこと、スタイリストとのカジュアルなコミュニケーションが鍵のようだ。

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