ファッション

「ルイ・ヴィトン」2016年春夏パリ・コレクション

REPORT

ゲームの世界へダイブ!リアルとデジタルの世界をつなぐ冒険旅行

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」におけるニコラ・ジェスキエールのクリエイションの起点の一つは“ジャーニー”。旅は「ルイ・ヴィトン」の根幹をなす要素だが、ジェスキエールはそこに冒険の要素を加えることで、常に新しい何かを開拓しようとしている。今シーズンのジャーニーは現実世界とデジタルの世界を行き交う旅だ。

フォンダシオン ルイ・ヴィトンの隣に建てた大きな黒い箱のテントに入ると、客席は壁も天井も巨大なスクリーンで覆われていた。使用されたスクリーンの総面積は510平方メートルで総重量は32トン。総長28キロメートルのケーブルでつないだ大掛かりな演出である。作り出したのは、3Dメガネをかけてアトラクションに乗り込むような環境。単純に映像をモニターに投影するのではなく、会場中を縦横無尽に映像が駆け巡る、疾走感溢れる空間をモデルが歩いた。

映像はゲームのコントローラーを操る男性の後ろ姿からスタート。男性がモニターに吸い込まれるように消えると、ショーがスタートした。ファーストルックのモデル、フェルナンダはパステルピンクの髪でゲームのヒロインみたいな存在感を放っている。どうやら男性はモニターに吸い込まれ、ゲームの中へ飛び込んでしまったようだ。ジェスキエールがインスピレーションに挙げたのは、ゲームの「マインクラフト」と日本のアニメ「エヴァンゲリオン」、そして韓国女優ペ・ドゥナだ。

ロールプレイングゲームに登場するような騎士を連想させるミニ丈のドレスとジレ、ライダースジャケットとシルクのパッチワークパンツなどに未来感を助長するシルバー装飾を多用。レザーのベルトはフラットにして、どこかフィギュアのような印象を加える。白いビクトリアン調のコットンドレスとベストの組み合わせは日本のコスプレにインスパイアされたという。

フューチャリスティックなスタイルは、ゲームやアニメの世界を愛するジェスキエールが「バレンシアガ」時代から好んできた世界観。当時はまるでコスチュームのような服が多かったが、ここではイメージこそ近未来的であるものの、使用する素材はコットンやシルク、レザーなどの天然素材が中心でリアルに着ることができる点が大きく違う。シルバーの装飾はメタルだけでなくフィルムを多用することで軽く仕上げている。

また、レザーのレースアップ装飾など伝統的な職人技も随所に。レザーのベストのモノグラムやダミエの柄は職人によるハンドペインで温もりがある。

 

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