ファッション

ダンス必修世代の2.5次元感覚がファッションを変える 小島健輔リポート

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 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。コロナが収束傾向にあるにもかかわらず、日本のファッション市場の回復は鈍い。特にZ世代と呼ばれる若い世代のマインドの変化に、旧態依然としたアパレルの多くは対応できていない。2022年とその先のマーケットを占ってみよう。

 欧米ではコロナ感染が再拡大する中もリベンジ消費が盛り上がり、いち早くコロナを抑え込んだ中国でも高級消費やトレンド消費が活況だが、わが国ではコロナが収まっても消費の回復は鈍い。経済の衰退と勤労者の貧困化という現実は容易に解消されそうもなく、ファッションもすっかり生活臭くなってしまったが、ことヤングファッションに関しては覚醒の兆しが急速に広がりつつある。来年2022年は勢いのあるトレンドに期待してもよさそうだ。

勢いを失ったジャパンファッション

 1970年代には世界のクリエイションをリードし、80年代にはDCブランドからインポートブランドとバブル消費が盛り上がった日本だが、バブル崩壊以降は低価格化と海外生産シフトが進み、少子高齢化に加えてリーマンショック、東日本大震災、コロナ禍と逆風が続いてマーケットは縮小の一途をたどり、アパレル業界もかつての勢いを失って久しく、コロナ禍で瀬戸際まで追い詰められている。

 90年代は低価格化が進む中もメンズでは渋カジや裏原、レディスではギャルやモテ服が盛り上がり、2000年代には欧米発のセレブカジュアルも取り込んで何とか勢いを保ってきたが、リーマンショック以降は経済の衰退と度重なる社会負担増で中産階級の疲弊が進み、低価格な欧米ファストファッションや量販SPAの等身大服に流れ、TOKYOはファッション都市としてのトレンド発信力を失った。

 アジアからのインバウンド客も彼らの経済成長とともに日本への憧憬が薄れ、「安い日本」の実利へと変わっていったが、かつての優越を忘れられないアパレル業界は勘違いの上から目線を続け、侵略する側から侵略される側への転落にも気付くのが遅れてしまった。

中韓越境ECの逆侵略が加速する現実

 今や経済でも技術革新でも日本を凌駕し消費が活況を呈する中国や韓国からトレンドは生まれ、インスタライブやティックトック、ユーチューブなどの国境なきSNSに乗ってわが国に押し寄せる。ティックトックやユーチューブにあふれる中国語やハングル、露出度の高いチャイナドレスや極端に細身のBMファッション※1.など、食傷を超えて文化的逆侵略の恐怖さえ覚える。

 K-POPのBTSなどグローバルマーケテイングに秀でた韓国エンタメビジネスが日本市場に浸透し、日本のお家芸だったRPG(ロールプレイングゲーム)も今年は韓国のRPGドラマ「イカゲーム」に席巻された感がある。MMD(Miku Miku Dance)やボーカロイド曲など日本発のデジタルエンタメさえ、韓国や中国のユーチューバーによる投稿が急増している。日本語のボーカロイド曲なので気がつかない人が多いが、「踊ってみた」「歌ってみた」投稿も中国や韓国からの投稿が目立つ。最初の技術革新はリードしても、それをグローバルに広げていく知恵と活力に欠ける日本を、才知と活力にあふれる中韓がスキルでも追い越していく構図は、液晶パネルや半導体のみならずエンタメやアパレルも同様なのだろう。

 それを裏付けるのが、楽天グループがフリマアプリ「ラクマ」のユーザーに毎年行っているインターネット調査「ファッションの参考にする国」で、年々韓国の評価が高まって今年は50代を除く全世代の女性で首位を占め、10代では77.3%、20代でも56.7%に達した。ECやSNSには韓国のブランドや越境ECサイトがあふれ、10代20代女子では割高で保守的な日本ブランドは駆逐されつつある。今やファッショントレンドをリードするのはパリでもミラノでもニューヨークでもなく、ソウルや上海であり、東京はトレンド発信都市としての地位を失って久しい。

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