ファッション

【動画】作り手の価値観を伝え、つなげる「イコーランド シブヤ」 Youth in focus Vol.6

 ミレニアルズやZ世代と呼ばれる若者たちは今何を考え、ファッションやビューティと向き合い、どんな未来を描いているのだろうか。U30の若者たちにフォーカスした連載「ユース イン フォーカス(Youth in focus)」では、業界に新たな価値観を持ち込み、変化を起こそうと挑戦する若者たちを紹介する。連載の6回目は、信頼をキーワードに消費行動を問い直し、作り手と消費者が等しい価値観でつながる場を提供する渋谷ミヤシタパークの「イコーランド シブヤ(EQUALAND SHIBUYA)」でディレクターを務める森井杏南(27)にフォーカスを当てる。

 2020年7月にオープンした同店は、2〜3カ月ごとに異なるテーマに沿って集めたファッションアイテムや雑貨、食品などが並ぶキュレーションメディア型店舗だ。森井ディレクターをはじめ、20代の社員が中心となり運営する。新しい世代が提案するこれからの時代の消費のあり方として、生産者のものづくりへの思いや価値観を掘り下げ発信するプレゼンテーションが特徴だ。ソーシャルアクティビストや、買い物に信頼や意味を求める人々が集う空間を生み出す森井ディレクターに話を聞いた。動画では、スタッフがオススメする3ブランドを紹介する。

WWD:「イコーランド シブヤ」立ち上げの背景は?

森井杏南「イコーランド シブヤ」ディレクター(以下、森井):「イコーランド」は、PR事業などを手掛けるワンオーが「等しい価値観でつながる人たちが集まる村のような場を作ること」を目指すプロジェクトとして2019年にスタートしました。まず、ワンオーのオリジナルブランド「イコーランド トラストファッション」を始動させ、その後20年7月末にそのコンセプトを体現したリアル店舗として「イコーランド シブヤ」を開きました。

WWD:森井さんがディレクターに任命された理由は?

森井:会社から「新しい世代が考える新しいことをやってみてほしい」と突然話を受けました。私は新卒でワンオーに入社し、主にデザイナーズブランドや企業のPR業務に携わっていたので、店作りも販売員の経験もなく、最初はかなり焦りましたね(笑)。右も左もわからず、20代のチームメンバーと一緒に試行錯誤しながらのスタートでした。

WWD:なぜキュレーションメディア型の店舗に?

森井:私自身、さまざまなブランドと仕事をする中で、ビジネスを通すと作り手が伝えたい本質的な部分が見えづらくなってしまう事例を見てきました。だからこそ、「等しい価値観でつながるコミュニティー」というコンセプトに強く共感し、商品やブランドの背景ストーリーをきちんと伝えたいと考えたんです。PR会社の私たちならではの伝え方として、雑誌のように期間ごとにテーマを変えて取り扱いブランドをキュレーションする今の見せ方に行き着きました。

WWD:オープン当初はどんな反応が?

森井:「いい意味で売る気がないね」とよく言われました(笑)。空間の使い方が下手で、気付けばギャラリーのようになってしまって。でも、それを新しいと感じてくれる人が多かった。狙ったつもりはなかったですが、印象的なスペースは作れたのだと思います。

WWD:テーマはどのように決めている?

森井:メンバーとの日常会話の中で自然に生まれることが多く、今私たちが気になること、発信したいことを反映しています。例えば、最近は旅行に行けず、「どこかに出掛けたい」というモヤモヤした感情がずっとあるよね、という話から5〜7月は「リトルトリップ」をテーマに、ものを通して、風景を想像したり、旅行に行った気分になれたりするような商品を集めました。テーマが決まったら、メンバーそれぞれが気になるブランドをリストアップします。インターネットやSNS、街で偶然見つけたブランドや、メンバーの友人のブランドも比較的多いです。10月17日までのテーマ「トラスト」では、私たちがキュレーションしたブランド以外にもこの場所で出会ったクリエイターらをキュレーターに迎え、彼らが信用・信頼しているアイテムを集めました。

WWD:運営メンバーは同世代でも、それぞれ興味関心は違うはず。どのようにまとめている?

森井:そうですね。でも、なんとなくみんなが“イコーランドらしさ”を理解している。言葉にはしづらいですが、各々の“らしさ”の解釈が、多様性と統一感を良い塩梅で表現してくれています。

WWD:取り扱うブランドを選定する上で大事にしていることは?

森井:そのブランドに温度を感じるか、です。ものの良さはもちろんですが、それ以外にも作り手の顔が見えたり、人柄が伝わったりすることを大切にしています。実際に、取り扱うときには、作り手に会い、どうしてブランドを始めようと思ったのか、どういう思いで作っているのかを直接聞き、そのストーリーに自分が共感できるかを大事にしています。

WWD:特に印象的だったブランドとの出合いは?

森井:あるハンドメードのソイキャンドルブランドの商品を扱っていた際、キャンドルを手に取ったお客さまが、ブランドの方へ直接写真とともに感想を送ったそうです。そのブランドの方から、後日「イコーランドのようにコンセプチュアルで本当の意味での豊かさに導いてくれるような在り方が、とてもしっくりくる」という言葉をいただきました。特にものが溢れている今、もの作りに対して矛盾を感じる作り手が多いと思います。そんな中で、作り手も買い手も豊かさを感じる瞬間を生み出せた。この方向性で良かったなと感じた瞬間でした。

WWD:あえてサステナビリティやエシカルというワードは使わないようにしている?

森井:オープン時には、プラスチック問題の展示を行いましたし、プラスチックパッケージの商品は避けるなど、店作りをする上で当たり前なことは実践していますが、私たちが伝えたいことはあくまでブランドのストーリーです。ストーリーを大切にすることで、自然とサステナブルな商品が集まりました。「エコでなければいけない」といったメッセージではなく、ファッション性があり、「あっこれ、かわいい」と自然と手に取った商品が何かを考えるきっかけになったらいいと考えています。

WWD:顧客はどんな人たち?

森井:20代のお客さまが比較的多いですが、どんな人が来ても何かしらは手に取れるようなものをそろえています。SNSのフォロワーは、ソーシャルアクティビストとして何かを発信していたり、サステナブルなことに興味があったりする人たちが多いです。特徴的なのは、一人当たりの店での滞在時間が長く、パネル展示やポップなどをじっくり読んでから購入してくれる人が多いこと。ただ買うだけではなく、その先の意味を考えたい人が多いのだと思います。

WWD:今後「等しい価値観でつながるコミュニティー」をさらに拡大していくための施策は?

森井:まずは自然に集まる人たちを大事にしていきたいです。例えば地理的なコミュニティーに根ざして、渋谷区にまつわる社会問題を取り上げたり、地域同士を結び付けたりもしたい。今後は物販以外にも、展示やイベントをさらに増やします。多くの人が気軽に立ち寄れる立地を生かして、さまざまなトピックを扱い、売る以外の表現方法も用いながら何かに気付くきっかけになる場所でありたいです。

■EQUALAND SHIBUYA
時間:11:00〜21:00
場所:渋谷ミヤシタパーク
住所:東京都渋谷区神宮前6丁目20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3階

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

表と裏の古着市場 米リセールECと日本の“川上”を徹底調査

「WWDJAPAN」1月17日号の特集は「表と裏の古着市場」です。中古品市場はのみの市や古着店、リサイクルショップなどの実店舗を中心に昔からあるビジネスですが、時代に合わせて大きく変化しています。特に米国の若者はサステナビリティへの関心も高く、節約やおしゃれのためだけでなく、環境保護の観点から古着を選ぶ人も多いそうです。

詳細/購入はこちら