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LVMHが余剰生地を販売するBtoBの新事業 高級テキスタイルを最大7割引で提供

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、余剰生地を販売するオンラインプラットフォーム「ノナ ソース(Nona Source)」を4月末に立ち上げた。同プラットフォームは、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」など数々のメゾンブランドを擁する同グループが保管している、高品質なファブリックやレザーなどを手ごろな価格帯で提供するBtoB事業。現在はヨーロッパとイギリスのみの配送だが、将来的にはアジアへの対応も視野に入れている。また、今秋を目処にパリにショールームを構える予定だ。

 サイト開設時には約500種類の生地を用意し、合計15万メートルのファブリックと1000メートルのレザーを提供した。各素材のブランドやサプライヤーは非公開で、オリジナルで開発したものやブランドロゴ入りの生地は含まれない。価格はLVMHの購入時よりも60〜70%引きに設定し、コットン1メートルを5ユーロ(約650円)、シルク1メートルを20ユーロ(約2600円)、カーフレザー1平方メートルを44ユーロ(約5800円)などで販売している。購入希望者は、会社名などを登録する専用アカウントの作成が必須となる。

発案したLVMH社員たちの思い

 「ノナ ソース」を設立したのは、3人のLVMH社員だ。発案者のロマン・ブラボ(Romain Bravo)は、「ジバンシィ(GIVENCHY)」と「ケンゾー(KENZO)」でマテリアル・バイヤーを務めていた頃「倉庫に行くたびにデッドストックが増えていくのを見ていた」と振り返る。そして、「ケンゾー」でサステナビリティ担当マネジャー兼テキスタイル・エンジニアだったマリー・ファルゲラ(Marie Falguera)と出会った。2人は、倉庫で眠ったままのファブリックを新たに活用するプロジェクトを立ち上げ、17年から試験的に運用を始めた。20年1月にはデジタルトランスフォーメーション・マネジャーのアンヌ・プリュール・ドゥ・ペレー(Anne Prieur du Perray)が加わり、21年4月に「ノナ ソース」を始動させた。彼らによると繊維産業のデッドストックは世界で年間約15兆円分にのぼり、同プラットフォームによって、余剰生地のリユースや新たな雇用創出につなげたいという。

 取り扱うファブリックは、登録さえすれば競合他社を含む全てのブランドが購入できる。ファルゲラは「独立した新進デザイナーにとって、高品質の生地を少量から注文できる素晴らしい機会になるはず。ファブリックの選択肢が広がることで創造性を磨き、完成度の高い作品を生み出してほしい」と語った。倉庫はフランス西部のトゥールにあり、受注後に配送される。オンラインプラットフォーム上では各ファブリックのクローズアップ写真と詳細動画を表示し、幅や重量、生地構成、透け感、伸縮性、原産国を掲載している。今後はファブリックは不定期で追加されていき、ボタンやファスナーといった小物も徐々に取り扱っていくという。ブラボは「いつか『ノナ ソース』のデッドストック100%で作られたコレクションを見てみたい」と期待を寄せた。

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