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急ピッチで進む「百貨店の再定義」

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 刺激的な見出しが目を引いた。「日経MJ」11月25日付の「Jフロント『百貨店ごっこ』やめた」。心斎橋パルコの開業に際したJ.フロント リテイリング(JFR)の好本達也社長のインタビュー記事である。(この記事はWWDジャパン2020年11月30日号からの抜粋です)

 百貨店の消化仕入れが時代に合わなくなる中、JFRは2017年開業のギンザ シックスを全て定期賃貸借(定借)にした。19年に建て替えた大丸心斎橋店の本館も65%が定借。百貨店として運営してきた大丸心斎橋店の北館には、傘下のパルコをテナントとして入れた。好本社長は元会長の奥田務氏(現特別顧問)から「君たちがやっている売り上げ仕入れ(消化仕入れ)は実態は不動産業なんだよ」と何度も言われていたと明かし、「(奥田氏が伝えたかったのは)『実態は不動産業なのにバイヤーとかマネージャーとか百貨店ごっこみたいなことをして、早く気づきなさい』ということでしょう。(中略)どこかで決着をつけないと、と感じていました」と語る。

 JFRの脱・百貨店は既定路線だが、コロナの逆風によって覚悟を新たにしたに違いない。好本社長は10月に行われた3〜8月期の決算会見で「対応を誤れば企業の存続も危ぶまれる一方、大胆な改革を推し進めるチャンスでもある」と述べていた。もはや百貨店か脱・百貨店かの業態論を議論している段階ではない。消費者の期待に応える小売業のベストな姿は何か、本質にかえった早急な対応を迫られている。

 百貨店を取り巻く環境は急展開した。コロナによってアパレルブランドの撤退が雪崩を打つ。オンワードホールディングス、ワールド、TSIホールディングス、三陽商会、レナウン(5月に経営破綻)のアパレル大手5社は、20年度中に百貨店を含めて計3100以上の売り場を閉める。縮小していたとはいえ百貨店の収益の柱だったアパレルとの、持ちつ持たれつの関係が音を立てて崩れた。従来の消化仕入れだけでは穴埋めできない。そごう・西武も25年までに定借の割合を7割に増やすと表明した。

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