ファッションとビューティ、オフラインとオンラインを結びつける「WWDジャパン」がスタートしたビューティ・インサイトは、「WWD JAPAN.com」のビューティニュースを起点に識者が業界の展望を語る。識者は、美容媒体の編集長やコンサルタント、エコノミスト、そしてサロンスタイリスト。ビューティ業界の半歩先は、ファッション業界の“道しるべ”にもなるだろう。今週は、百貨店の化粧品売り場で変わりつつある接客法について。(この記事はWWDジャパン2020年9月14日号からの抜粋です)
販売スタイルの変化に沿ったフロア情報の発信を
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の解除後、百貨店のビューティフロアは顧客の肌に触れる、メイクのタッチアップを行うなどの販売のうえで重要なアクションを制限されている。この危機的ともいえる状況の中、化粧品各社を中心にデジタルベースの「非接触型コミュニケーション」への取り組みが急速に進んでいる。
そごう・西武が立ち上げた「キレイデパート」は、こうしたウィズコロナ時代の動きに対応した情報発信を行っている。月1回のペースで実施されるというライブコマースには、これまで「ランコム」「シュウ ウエムラ」が参加しているが、メイクのデモンストレーションに終わらず店頭やオンラインショップへの誘導施策が組み込まれている点は、肝心の購買に結び付けるために一歩進んだ取り組みといえるだろう。
百貨店で化粧品を買うハードルの高さ
一方で「百貨店で化粧品を買うのはハードルが高い」という声はいまだに根強い。複数のブランドを見比べにくいことや、カウンセリングを受ける煩わしさに加え、ビューティまわりの情報が溢れ過ぎていることも大きな理由の一つだ。さらに美容メディアや口コミサイト、個人のSNSなど、さまざまなレベルの情報が混在し、その中から自分にとってふさわしいものを選ぶことがどんどん難しくなっている。
オーガニック&ナチュラルコスメなどブランドの嗜好性も幅広くなる中で、情報をうまく活用して買い物ができる層はかなり限られているといっていいだろう。明確な目的をもち主体的に情報を取ることができないと、広大なフロアの中で迷うだけだ。百貨店のオンラインショップも同様で、ブランドリストを見るだけで買い物する気をそがれてしまう。今のビューティフロアはリアルでもオンラインでも、かなり予習をしないと入りにくい場所になってしまっている。
例えばスキンケアを選び直したい、新しいブランドのものを使ってみたいと思っても、まずどこのカウンターに行ったらいいのか分からない、どんな相談ができるのか分からないという声は非常に多い。これまでのビューティフロアは規模ばかりが大きくなり、ブランドと来店客を結び付けることができていなかったと思う。
コロナ禍の収束が見えない中、客足が戻るタイミングは未知数となった。これまで特需ともいえたインバウンド客をいったん失うという厳しい状況だが、今後は取りこぼしてきた国内客にもう一度目を向け、あるべき販売スタイルを立て直していく必要がある。国内客においてもテレワークをはじめとしたライフスタイルの多様化もあり、今後は店頭とオンラインを使い分ける購買スタイルがさらに顕著になってくる。百貨店ブランド各社は当面リスクを避けながら、接客機会が減った分をオンラインで補う方向を模索している。店頭活動においても、リモートカウンセリングを行うなどできるだけ接客時間を短くする試みが行われている。
接客の多様な変化が起きている
百貨店が得意とするカウンセリング化粧品の販売スタイルは確実に変わっていくだろう。ただ、その方向はブランドの目指すものによって異なるのではないか。店頭での変わらぬ体験価値を目指すところ、情報発信や販売までをオンライン中心にシフトするところなど、より多様な変化が起こりつつある。
百貨店側はブランドごとの新しい販売スタイルへの取り組みを把握し、情報を一元化することが必要になっているのではないか。オンライン販売の有無、来店時の予約の要・不要、リモートカウンセリングの有無など、各ブランドの対応をとりまとめて利用客の希望に沿うサービスの形を選べるとよいのではないかと思う。
また、どこのブランドに行っていいか分からない、自分に合うスキンケアを選び直したいなどのニーズに対しては、価格帯、肌のコンディションやスキンケアの嗜好性などを聞き、利用客の希望を明確にしてからいくつかのブランドを紹介するなど、いったん情報の交通整理を行う仕組みも、リアル・オンラインともに望まれる。これまで百貨店から足が遠のいていた層に向けて、ハードルを下げる機会にもなるかもしれない。
顧客層が厚く、スキンケアニーズの高いミドル~シニア世代や、リモートワークをきっかけに自己の印象アップに目覚めたメンズにも、製品・ブランドを選ぶためのガイドが必要だ。現状の情報コンテンツは、デジタルとの親和性が高い20~30代に向けられているが、今後は複数の入り口が必要になるのではないか。
また、リモートコミュニケーションの急速な普及は、地方との距離を縮めるというメリットも生んだ。地方を中心に百貨店の店舗が減り続ける中、実際の来店が難しい地方の在住者と百貨店ブランドとの新しいつながりを作ることもできるだろう。
一昨年、大規模な改装を行ったそごう横浜店では、中立的なスキンケアカウンセリングを行う「ソゴウキレイステーション」や、来店客の相談を受けて要望に合ったブランドを案内したり、フロアでの買物をサポートする「ビューティーインフォメーション」などのサービスを導入したりした。現在は一部のサービスを休止しているが、広大なフロア内で来店客の情報整理を行うコンシェルジュ的な仕組みは、オンラインショップや来店時のリモートアシスタンスとして今後も活用できるはずだ。
【識者が選んだ注目ニュース】
そごう・西武がコスメサイト「キレイデパート」をオープン
そごう・西武は8月20日、コスメ情報サイト「キレイデパート」をオープンした。新型コロナウイルスの影響もあり、ECサイトでの売り上げが伸長していることから、ライブ配信やハウツー動画の配信、ニーズに合わせた施策やアイテム提案など、デジタルコンテンツを充実させる。毎月のテーマに合わせたおすすめのアイテムやケア方法も紹介する。第一弾では、“ニューノーマルの私を楽しむ、旬コスメ”をテーマに、マスク着用時の目元メイクや、リモート映えメイク、紫外線やマスクによるダメージケアに対応するアイテムやケア方法などのほか、人気ブランドの美容部員がおすすめする “美容部員の溺愛コスメ”も提案する。
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「アルバム」金内柊真のスター美容師への道Vol.7
ツイッターのフォロワー数14万超え、インスタグラムのフォロワー数11万超え、TikTokのフォロワー数9万超え、ユーチューブのチャンネル登録者数6万2000人超えの人気美容師・金内柊真。かつては芸能活動を行い、2018年8月にはアシスタントながら自身の著書「才能がなければその分努力すればいい」(KADOKAWA)を出版するなど、美容師の枠に収まらない存在として注目を集めている。昨年11月にスタイリストデビュー。コロナ禍でも2カ月連続で売り上げは月215万円を達成。
「ビュリー」路面2店舗目の青山骨董通り店がオープン
パリ発美容ブランド「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(以下、ビュリー)」は、国内7店舗目、路面店では代官山店に続く2店舗目となる東京・青山骨董通り店を8月28日にオープンした。新店舗は赤レンガ造りのビルに合わせたデザイン。ショップサインとして代表製品のハンドクリーム「ポマード・コンクレット」の巨大サンプルを掲示した。店内はブランドの根幹である“伝統とモダニティ”の融合を表すように、カウンター内は18世紀フランスを思わせるクラシカルな劇場をイメージした装飾とした。
「RMK」の2020年ホリデーコレクションは2種のキットが登場
「RMK」は「ホリデールック レッドメイクアップキット 2020」(9800円)と「プレメイクアップ ミニコレクションキット 2020」(9800円)を11月1日に数量限定で発売する。なお、予約は10月16日に開始する。「ホリデールック レッドメイクアップキット 2020」は、ニュアンスの違う2種の赤リップと赤のネイルをメインにしたセット。さらにこのキット限定の大粒のゴールドパールを配合したアイライナーと濃密なブラックのマスカラがひとつになったダブルエンドタイプの「アイライナー&マスカラ」などを扱う。
うお座の満月(9月2日)は保湿たっぷり“染み込む”ケアを
第18回は9月2日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。今回の満月(9月2日)はうお座で起こります。うお座は、12星座の最後に位置する水の星座というカテゴリーに分けられます。“水”は占星術では感情や情感、目に見えないムードや人の心の結びつきを示します。ほかの水の星座であるかに座やさそり座も同じく目に見えないものを大切にするといわれていますが、その中でもうお座という星はもっとも分け隔てなく、対象に染み込もうとするという特性を持っていると伝えられます。
グランエミオ所沢第2期オープン イセタンミラーなどビューティも出店
埼玉県・所沢駅直結の商業施設グランエミオ所沢が9月2日に第2期を開業した。ビューティやファッション、飲食など49店舗(うち30店舗が地域初出店)が出店。3月に開業した第1期77店舗と合わせて126店舗がそろい、周辺エリアで最大規模の商業施設となる。初年度売上高は130億円を目指す。所沢駅は1日の乗降客数が10万人を超え、商圏人口は34万人。さらに周辺にある西武園ゆうえんちやメットライフドームのリニューアル、ところざわサクラタウン(KADOKAWA運営の複合施設)の開業が控える。
(集計期間:8月31日~9月6日)