ファッション

「ファッションで最も大切なのは“感性”だ」 「ヴァレンティノ」が変貌を遂げた理由

伝統的なブランドをモダンに変貌させた2人

 ニューヨークでのWWD CEOサミット開催に際し、「ヴァレンティ(VALENTINO)」のクリエイティブ・ディレクターを務める2人、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)とピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)がローマから来訪し、WWDエグゼクティブ・エディター、ブリジット・フォレイ(Bridget Foley)とてい談した。伝統あるブランドを、トレンドセッター的ブランドに進化させた2人のコラボレーションは、果たして“平和的”に行われているのだろうか?

 キウリとピッチョーリは、ラグジュアリー・コングロマリットが日々悪戦苦闘している難題を見事にクリアし、伝統的ブランドをモダンに変貌させた。しかも、創業者のヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)がブランドにとどまり、積極的にビジネスに関わることはないものの、まだまだファッションシーンには登場するという状況においてだ。

 クリエイティブ・ディレクターに指名されたとき、2人はすでに「ヴァレンティノ」内部の人間だった。2人は同ブランドのアクセサリー・デザイナーをすでに10年務めており、「ヴァレンティノ」の歴史を知り抜いていた。さらに2人は口をそろえて、「ローマにいれば分かるが、私たちは文字通り『ヴァレンティノ』と共に育った。なぜなら、『ヴァレンティノ』はローマで最も名高いファッションブランドなのだから」と語る。

 ガラヴァーニ自身はサポーターとしてブランドに残り、彼らのほとんどのショーに出席している。彼がコレクションについてアイデアなどを提供することはないが、キウリとピッチョーリはショーの前にコレクションをガラヴァーニに見せ、ショーが終わると毎回、彼とランチに行く。

 2人がクリエイティブ・ディレクターに就任したとき、ピッチョーリはガラヴァーニからこうアドバイスされたという。「全身ブラックのデザインは避けるように(ピッチョーリ自身は全身ブラックに装うことが多い)」。そして、キウリには「自分のためにデザインしてはいけない」と諭したという。

ファッションで最も大切なのは"感性"

 「ファッションで最も大切なのは“感性”だ」とピッチョーリはいう。「私たちの仕事は今という時代における“美の概念”を世に送り出すこと。そして現代で大事なことは個性と美、そしていうまでもなく感性だ。本当に必要なのは服ではない。感性なんだ。コレクション制作にあたって、私たちはまず、コレクションで伝えたいメッセージにフォーカスする。ある意味、映画を作っているようなものだよ。ショーを見終わった後、心に夢を抱いて帰ってもらいたいんだ。それこそファッションだ」。

 「ヴァレンティノ」の伝統への2人のアプローチについて、ピッチョーリは、「同じ風景をモチーフにしながら、新しい絵を描くこと」と表現する。「絵はがきみたいな感じだよ。美しくて、目新しいわけではない。でも、個人の目を通した時に、それはパーソナルなものになる。私たちはその絵を、より奥行きがあって、もっと優雅で、もっと個性的なものにしたいんだ」。

 ピッチョーリは繰り返し、彼らのクリエイティブ・プロセスとショーのアイデアを“映画と同じよう”と表現した。映画製作と同じように、彼らのストーリーを一コマ一コマ作っていき“、完璧”にまで持っていくのだと。

 キウリは「『ヴァレンティノ』の価値は、クチュール文化」と言い切った。「この文化感はクラフツマンシップやクオリティーと密接に結びついている。さらにイタリア語のように、私たちの歴史に根付いた伝統よ。ローマにいると、それをまざまざと感じるわ」とキウリ。「私たちは、デザイナーという職業はアーティスティックなものであり、人間味のあるものだと考えている。それがブランドを特別なものにしていると思う」。


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