静かで知的な威厳
イベントには、杉本全日産自動車執行職のほか、商品企画を担当した中村智志日産自動車チーフプロダクトスペシャリストと一野健人日産自動車チーフビークルエンジニアらが登壇し、同モデルのプレゼンを行った。新型のコンセプトは「リミットレス・グランドツアラー」。中村氏は「500km、600km先へ家族や友人と出かけたくなるような、移動の時間そのものを豊かで心地よいものにしたい」と同モデルに込められた願いを語った。
エクステリアのデザインコンセプトには“The private MAGLEV(リニアモーターカー)”を掲げる。象徴的なフロントグリルの意匠は、釘などを使わずに小さな木片を組み合わせて幾何学模様を作り出す日本の伝統工芸“組子”から着想を得たもので、ボディーからグリル、ヘッドライトへとひと続きのラインでつながるように設計。グリルのドットは面の傾きや角の丸みまでミリ単位で調整して端正な印象を加え、「静かで知的な威厳」を感じるフロントフェイスを狙った。
サイドビューは、ウエストライン、ルーフ、キャラクターラインに直線的なラインを用い、疾走感を演出。車体後端下部が跳ね上がったような造形は、走り抜けた後の余韻を表現すると同時に、空力性能の向上にも貢献する形状だ。ホイールには軽量化と空力を追求した専用フィニッシャーを施し、ウエストラインを境に上下の色を切り替えるツートン仕様も設定した。
「走りの楽しさ」と「快適な室内」の両立
特筆すべきは、「走り」へのこだわりだろう。中村氏は、開発にあたりミニバンオーナーや購入検討層に取材を重ねた結果、乗客の快適性だけでなく「運転する楽しさが欲しい」という声が非常に多かったと明かし、その声を新型に反映させたと話す。
パワートレインには、専用設計の発電特化型エンジン“ZR15DDTe”と主要部品を一体化した電動ユニットからなる第3世代“eパワー”を搭載。駆動方式は電動駆動4輪制御技術“e-4ORCE”による4WDに一本化した。従来のモーターとブレーキの統合制御に加え、リヤモーターのトルクを積極的に活用することでコーナリング性能を高めた。また、走行シーンに応じて4輪の減衰力を可変する“インテリジェント ダイナミックサスペンション”との組み合わせにより、大型ミニバン特有の車体の揺れを抑えて乗員の快適性にも寄与する。開発陣によれば、この高い旋回性や車体の姿勢制御には、“GT-R”で培った前後輪のトルク制御のノウハウが生かされているという。
ドライブモードは“エコ”“スタンダード”“スポーツ”“コンフォート”“スノー”のほか、ドライバー好みに細かく設定が可能な“パーソナル”の計6つを用意した。また、停止時に細かいブレーキ操作をせずに、滑らかに停車が可能な機能も備わる。一野氏は「レールを走るような滑らかな移動体験と、思い通りに操る喜びをドライバーに提供する一方、後席の同乗者には揺れが少なく不快感のない、極めて快適な移動空間を実現した」と話す。