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名古屋・栄に「世界中から人を呼び込む」 J.フロント、10館2000億円体制でまちづくり加速

「栄を、世界中から人が集まるデスティネーション(目的地)にしたい」。

J.フロント リテイリング(JFR)は17日、名古屋・栄の新商業施設「ハエラ(HAERA)」の開業日(6月11日)と施設詳細を発表した。名古屋市内で開かれた記者会見で、JFRの小野圭一社長は冒頭のように宣言した。

会見で語られたのは、スケールの大きいブティックを構えるラグジュアリーブランドをはじめ、高感度なファッション、アートやフレグランス、多彩な食のショップが並ぶ「ハエラ」の全貌。さらには、栄地区の既存施設との連携から名駅(名古屋駅)地区までを俯瞰した、同グループの街づくりの構想まで。「(ハエラは)単なる一つの商業施設ではない。名古屋の商業の重心を変える、新しい中心地を目指す」と小野社長は意気込む。

百貨店とパルコ、融合の「試金石」

「ハエラ」の最大の特徴は、大丸松坂屋百貨店とパルコという、グループ内の異なるDNAを、一つの館の中で融合させた点にある。すでに大阪・心斎橋では、隣接する大丸心斎橋店と心斎橋パルコの間での相互送客など一定のシナジーが生まれているが、ハエラは「これまでよりもさらに一歩進んだ挑戦」だという。

1階の路面には、「シャネル(CHANEL)」「エルメス(HERMÈS)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「カルティエ(CARTIER)」といったラグジュアリーブランドが、中部エリア最大級の規模で存在感を放つ。その一方で、館内にはパルコが得意とするエッジの効いたカルチャーやライフスタイル提案を散りばめた。1階で「バイレード(BYREDO)」や「ディプティック(DIPTYQUE)」といった洗練されたフレグランスブランドが店を構え、上層階には国内外の尖ったクリエイションをそろえる「ミッドウエスト(MIDWEST)」や「エーエイプ ストア(AAPE STORE)」などのセレクトショップやブランドが出店する。

さらに「アークテリクス(ARC'TERYX)」のような都市型アウトドアスタイル、高感度なレザーグッズを扱うエンダースキーマ(HENDER SCHEME)の直営店「スキマ(SUKIMA)」、ハイエンドなブランド古着に強い「リンカン(RINKAN)」など、多角的な視点で構成されたショップ群がそろう。地下階や上層階には、話題性の高い食のコンテンツも盛り込んだ。

小野社長は「百貨店とパルコの運営をする中で、“商業の多様性”がグループの強みになってきている。それを私たちらしく、一つの館の中で初めて表現できた施設だ」と自信を見せる。「百貨店が得意とするラグジュアリーのトップクラスが圧巻の店構えで出店し、なおかつ、パルコが強みとするようなエッジィなラインナップを取り揃える。この挑戦を、他のエリアの試金石にしていきたい」とする。

「10館2000億円」の経済圏で栄に活気

一方で小野社長は、「われわれがしたいのは、建物の中に人を囲い込むことではない」とも断言する。「ハエラ」は栄エリアの核となり、既存施設や街とつながることで、回遊を生む強力な装置となる。

栄エリアにはすでに、松坂屋が3館、パルコが4館、専門店ビル2館がある。ここに「ハエラ」が加わることで、J.フロントグループとしては10館体制となり、「年間2000億円以上の売上取扱高を創出する経済圏」を構築することとなる。「松坂屋やパルコと連携し、ハードだけでなくソフト面でのグループシナジーを発揮することで、栄エリアに活気を吹き込みたい」。さらには行政や企業とつながり、まちづくり文脈におけるグループの優位性を、さらに強固なものとする狙いだ。インバウンド(訪日客)についても「東京や大阪と比べると、都市の規模感に対してまだまだ伸びる余地が大きい」と期待を寄せる。

名駅地区との奪い合いはない

ただし、栄エリアの商業を語る上で避けて通れないのが、名駅エリアとの関係性だ。名駅エリアには、名古屋の百貨店の稼ぎ頭であるJR名古屋タカシマヤ(25年売上高2200億円)が君臨する。ただ、リニア中央新幹線の開業を見据えた再開発が暗礁に乗り上げる中で、栄エリアへの集客影響も含め、包括的な名古屋商圏としての展望に触れた。

交通アクセスに優れ、仕事や学校帰りに立ち寄る人が多い名駅に対し、栄には久屋大通公園など落ち着いて過ごせる環境が多い。「ハエラ」が入る高層ビル「ザ・ランドマーク名古屋栄」には、シネマコンプレックスも入居する。「名駅は『多頻度立ち寄り型』で、栄は『長時間滞在型』の商業エリア。デスティネーション(目的地)として、いかに滞在していただけるかが栄の勝負だ」と小野社長は持論を述べる。「街としての使われ方が全く違う。だから、消費者のパイを奪い合おうという考えは毛頭ない。名駅周辺の活性化は栄の活性化にもつながっていくし、その逆もまた然りだろう」。名駅地区との役割の棲み分けと共存共栄を意識しながら、名古屋・栄エリアらしい繁栄を目指していく考えだ。

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