ファッション

変形タンクトップでブレイク 「リトルスージー」、10周年を機に開かれたブランドへ

「リトルスージー(LITTLE $UZIE)」と聞いて、おしゃれな変形トップスやタンクトップを思い浮かべる女性読者も多いだろう。ブランド立ち上げ当初からSNSで人気に火が付き、以来それらがブランドの顔となり認知を広げてきた。9年目のシーズンとなる2026-27年秋冬は、ブランドを新たなステージへと進めるべく、本質的なモノ作りを突き詰める。

「リトルスージー」は大阪のセレクトショップ「リトルスージーアパートメント(LITTLE $UZIE APARTMENT)」のプライベートブランドとして、2017年にスタートした。ネックラインや丈感など、仕入れ商品ではまかなえない、細やかなディテールを表現するために立ち上げた。大阪・南船場と東京・恵比寿に直営店を構えるほか、少数のセレクトショップにも卸している。顧客層は、20代半ばから40代半ばと幅広い。

デザイナーを務めるパク・ヨンシン(朴英心)は、R&Bのシンガーソングライターだった。メジャーデビューも果たしていたが、「だからと言ってド真ん中にいる感じはなく、いわゆるB-Girlではなかったかも(笑)」。結局「人前に立つことがすごく苦手だった」ため辞めてしまったが、曲作りやレコーディングなど、何かを作ることは好きだった。表舞台ではなく、裏方でモノ作りができるデザイナーという仕事が、彼女の性には合っているのだろう。

立ち上げ1年目のセンセーション
変形トップスが大バズ

「リトルスージー」の名が広まったのは、18年のこと。アイキャッチな変形トップスやタンクトップがSNSで話題を呼び、飛ぶように売れた。再入荷するたびに「ソールドアウト」の文字が踊った。しかし、当時を振り返るパクデザイナーの声のトーンは少し沈んだ。「ブランドを立ち上げて1年も経たないタイミングだったため、うれしさと同時に戸惑いがあった。表現したいものがまだ定まっていなかったから。変形トップスだけが独り歩きしている。そんな感覚だった」。

このセンセーションをきっかけに、「自分のやりたいこと、そしてお客さまと向き合いたい」という気持ちが強まった。変形トップスとは「一旦距離を置く」ため、現在は公式ECのみで販売している。一時は伊勢丹新宿本店にも出店していたが、物件選びからこだわった現在の2店舗に落ち着いた。自分たちで売ることにこだわるため、卸先も限定した。

デザイナーのリアルを反映
今季は“本質”を追求

ブランドを立ち上げた当初から、ミューズは「折れない芯を抱きながらも、柔軟に、ユーモアを忘れずに生きる女性」。いわゆる“強さ”ではない、“しなやかさ”を持つ女性だ。そんな理想像は、パクデザイナー自身の経験を加えることで、リアルクローズに形を変える。例えば、ワントーンのスタイリングが多いのは、デザイナー自身が小柄なため。たくさんの色を使うよりまとまりが良く仕上がり、全体のバランスが取りやすい。

2026-27年秋冬コレクションは、そんな女性像がより色濃く現れた。一切の装飾を取り去り、ミニマムを追求した。ファッションの楽しさは、素材や色味、パターンで表現する。パクデザイナーも「この9年を経て、ようやくブランドの本質を表現できた」と満足げだ。特に色味には自信をにじませる。ベージュやブラウン、アイボリーといったブランドらしいナチュラルなカラーカラーパレットに、差し色のボルドーやミントが効いていた。

大手セレクトに関心
10周年を前に次のステップへ

一方、ブランドを9年続ける中で、生まれた変化もある。立ち上げ当初に発表していた体に沿うデザインに対し、年を重ねても着やすい体を包み込むデザインが増えた。気候の変化も考慮し、給水速乾素材で作った秋物トップスや裾を取り外しできるスラックスなどを晩夏向けにデザインしている。原価が上昇し続ける中、「長く着てほしいものはそれなりの値段で」「多くの人に着てほしいものは値ごろに」と考え、価格帯も大きく2つに分けた。

「私たちの正解だけじゃなく、お客さまの正解も見たくなった」とパクデザイナー。世界観を確立し、顧客も定着した今、「こんなスタイリングもあるんだと教えてもらいたい」とほころんだ笑顔を見せる。近いうちに、大手セレクトショップへの卸に乗り出すそうだ。全国展開、海外出店、ショーの開催と、デザイナーの夢は膨らむ。

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