ヒューマンメイドは16日、上場後初めて通期連結業績(2026年1月期)を発表した。二ケタ増収増益の勢いはもとより、目を引いたのは圧倒的な営業利益率だ。売上高142億円(前期比26.8%増)に対し、本業のもうけを示す営業利益は45億円(同42.5%増)。営業利益率は約31.7%に達している。売上高自体はまだ小規模であるものの、欧州のラグジュアリーブランドにも匹敵する利益水準であることから、「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」というブランドの価値、ビジネスモデルの完成度の高さがうかがえる。
アパレル企業の営業利益率は、ビジネスモデルにもよるが、10%を超えれば高水準とされている。低利益のボトルネックは、その季節性とセールを前提としたシステムにある。気温の上下や気候不順によって商品の動きが如実に変わるのが洋服であり、近年は猛暑や暖冬など読めない気候と商品企画のズレが業界全体の大きな課題となっている。売れ残った商品はシーズンオフセールで値引き販売するため、どうしても利益を削ってしまう。
“実需”よりも“希少性”で売る
一方でヒューマンメイドは、「商品の季節性がそれほど強くない」(柳澤純一・取締役CFO)。2026年1月期の四半期ごとの営業利益率は、2〜4月が26%、5〜7月が33%、8〜10月が36%、11〜1月が30%と、年間を通じて高水準で安定している。
季節や気候などの「実需」というよりも、ブランド価値やコラボレーションなどの「希少性」によって購買意欲を喚起していることが大きい。ヒューマンメイドは、設立からプロパー(正価)消化率100%を継続している。多品種・少量生産に加えて、チャネル構成におけるDTC比率(自社ECと直営8店舗の合計)を82%という高水準に保ち、商品投入と販売を徹底的にコントロールする。「いたずらに供給量を増やしていない。希少性を考慮して在庫をコントロールすることが、結果的に顧客層の積み上げに繋がっている」と柳澤CFOは語る。つまり、「売り切れ御免」のビジネスモデルが、ファンの枯渇感につながり、飽きさせないというわけだ。
店舗は圧倒的な販売効率
床面積当たり、国内大手の5〜11倍
店舗の販売効率も非常に優秀で、店舗面積1平方メートル当たりの売上高は1178万円。これは国内大手のSPAや大手セレクトショップと比較しても「4.8〜11.5倍程度」(同社決算資料)の水準となる。少ない床面積で多くの売上高を稼げば、それだけ地代家賃や人件費が圧縮でき、利益も大きくなる。 26年1月期は、ラフォーレ原宿のわずか26平方メートルの店舗で12.6億円を売った。「店舗への来店客数が積み上がっており、力強い需要を感じている」(柳澤CFO)。緻密なマーチャンダイジング(MD)も高い利益率の要因だ。26年1月期の平均販売価格は前期比14%アップさせるなど、付加価値を商品価格に上乗せする一方、商品の品質を保ちつつ海外生産シフトを進め、平均原価の上昇は2%に抑えた。
モノではなくカルチャーが核
海外展開加速で次のステージへ
同社の決算資料には、「人の手が生み出すカルチャーの芽をマンガ、アニメ、ゲームに続く、日本を代表するクリエイティブ産業に育てる会社」という企業パーパスが明記されている。彼らの合理的なビジネスの核にあるのは、「モノ」ではなく「カルチャー」だ。NIGO®やファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、KAWSら世界的ボードメンバーがもたらすクリエイティブの価値。その「希少性」を徹底的に守る仕組みが、結果的にアパレルの常識を覆すほどの利益率を生み出している。
今後は海外出店とEC展開を強化し、DTC比率を現状レベルで維持しながらグローバルで成長を加速。「海外のプレミアムブランドに匹敵する高収益ブランド」のステージを狙う。国内店舗のインバウンド消費を含めた海外売上高比率はすでに65%に達しており、これはアシックス(81%)に次ぐ水準で、ファーストリテイリング(56%)や良品計画(44%)を上回る。27年1月期中はタイ・バンコクや韓国・ソウルのロッテワールドモールに出店するほか、中国と米国でも現地法人を設立済みで、28年1月期の本格稼働に向け準備を進めている。