ロレアル(L’OREAL)の2025年12月期決算は、売上高が前期比1.3%増の440億5200万ユーロ(約8兆1055億円)、営業利益が同2.3%増の88億9100万ユーロ(約1兆6359億円)、純利益が同4.3%減の61億2700万ユーロ(約1兆1273億円)の増収減益だった。為替や関税の逆風に加え、フランス政府による公的財政の立て直しを名目とする大企業向けの特別付加税が負担となり、最終利益を押し下げた。一方で、営業利益率は改善し過去最高を更新するなど、本業の収益力は向上した。
プロフェッショナルプロダクツが最も高い伸び
部門別の売上高は、プロフェッショナル プロダクツ事業本部が同5.7%増の51億6300万ユーロ(約9499億円)と増収。「ケラスターゼ(KERASTASE)」などでプレミアムヘアケアがけん引したほか、オムニチャネル戦略が奏功し、初めて50億ユーロ(約9200億円)の大台を超え、最も高い伸び率を示した。コンシューマープロダクツ事業本部は北米を中心に下半期に成長が加速し、同0.7%増の160億8900万ユーロ(約2兆9600億円)となった。ヘアケアが最大の成長ドライバーとなったほか、メイクアップはヒット製品により回復した。
リュクス事業本部はフレグランスが成長エンジンとなり、高級市場が減速する状況下で前年並みの155億9500万ユーロ(約2869億円)を確保した。ダーマトロジカル ビューティ事業本部は「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」がけん引し、同2.5%増の72億400万ユーロ(約1兆3255億円)だった。成長分野として安定的に拡大した。
欧州が堅調に推移、新興国が高成長
地域別の売上高は、欧州が同4.6%増の148億6400万ユーロ(約2兆7349億円)、北米が同0.7%減の117億1800万ユーロ(約2兆1561億円)、北アジアが同2.2%減の100億7500万ユーロ(約1兆8538億円)、南アジア太平洋・中東・北アフリカ・サブサハラアフリカ(SAPMENA-SSA)が同6.5%増の41億1400万ユーロ(約7569億円)、ラテンアメリカが同0.7%減の32億7900万ユーロ(約6033億円)だった。
欧州が堅調市場を上回る成長を維持し、特にフレグランスを中心としたリュクス部門がけん引した。北米は市場環境の改善を背景に下半期に大きく加速し、全部門が成長に寄与した。北アジアは通期では減収となったが、下半期は中国本土の回復により持ち直した。最も高い伸びを示したのはSAPMENA-SSAで、中南米もヘアケアを中心に力強い成長を維持するなど、新興国が全体の拡大を下支えした。
イエロニムスCEO「決定的な年」
ニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)は声明で、25年を「決定的な年」と位置付け「オーガニックベースの売上高は3四半期連続で成長が加速した。新製品の投入計画の強化と、徐々に改善しているビューティ市場に支えられた結果だ。特筆すべきは、最大市場である米国と中国で下半期に力強い回復を実現したことだ。同時に、新興市場の開拓も継続した。効率性向上に注力したことで、為替や関税の逆風を相殺し、粗利益率と営業利益率はいずれも過去最高を更新した」と述べた。
イエロニムスCEOはまた、同社が昨年、大きな変革を遂げたと強調。AI(人工知能)の進展、研究開発力の強化、ITトランスフォーメーションの推進を進めたほか、ケリング ボーテ(KERING BEAUTE)との取り引きによる大型M&A、ガルデルマ(GALDERMA)への出資比率引き上げを通じて、ラグジュアリーおよび美容医療分野での競争力を一段と強化したと説明。「26年はマクロ経済の不確実性があるものの、世界のビューティ市場の見通しには楽観的であり、複数部門の戦略により、引き続き市場を上回る成長を達成できると確信している」と述べた。
市場は26年に回復との見方
投資銀行バークレイズ(BARCLAYS)のウォーレン・アッカーマン(Warren Ackerman)欧州コンシューマーステープル担当アナリストはリポートで、「最も重要なのは、ロレアルが26年のグローバル化粧品市場をどう見ているかだ」と指摘。「当社は26年に市場成長率が過去30年平均の4.5%へ回帰すると予想している(25年は3%)。この見通しは、米国および中国市場の改善が前提だ」との見方を示した。