伊藤忠商事の繊維カンパニーは「ミャクミャク」の成功を受け、IPビジネスを再強化する。11月5日に発表した2025年4〜9月期決算で、純利益の見通しを380億円から400億円に上方修正した。伊藤忠は10月13日に閉幕した「大阪・関西万博」のマスタライセンシーオフィスを電通などとともに務めており、「閉幕後も一部のアイテムの販売期間を延長するなど、計画よりも大幅に上振れした。ミャクミャクの効果も全体に波及した」(武内秀人・執行役員繊維カンパニープレジデント)という。本日都内で行った会見で明らかにした。
「ミャクミャク」での成功を受け、IP(キャラクター)ビジネスを再強化する。伊藤忠は2000年代初頭には「ノンタン」などキャラグッズのライセンスビジネスをかなりの規模で展開していた。「今回は電通とのタッグで新しい形ができ、その部分では手応えを感じている」とし、27年に横浜で開催予定の「国際園芸博覧会」でも、公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」を軸としたライセンスグッズの販売に力を入れる。また、日本発のIPキャラ×ライセンスビジネスの海外展開も視野に入れる。
25年4〜9月期の純利益は115億円増の242億円。26年3月期から完全子会社化し、取り込み利益が大幅に増加したデサントに加え、スポーツアパレル向けのOEM・ODMが好調だった中国子会社の伊藤忠繊維貿易(ITS)が2億円増の21億円、欧米向けにOEM・ODMを手掛ける香港子会社の伊藤忠テキスタイルプロミネント・アジア(IPA)が7億円増の6億円と好調だった。また、昨年度に34億円の赤字に転落した「アンダーアーマー」を展開するドームが黒字化した。一方、メンズアパレル卸のジョイックス、婦人服小売りのレリアン、インポート卸のコロネットが苦戦し、赤字だった。
2026年度にはスポーツやブランドビジネスなどに加え、新たなビジネスの柱を創出する考え。26年の夏ごろまでには方向性を決定し、大型のM&Aなどの可能性も示唆する。「今年度で基礎収益400億円が見えており、投資金額についても以前よりも大きな規模で実行できるようになっている」という。