先日、ふとつけたテレビで思わず手が止まりました。アソビシステムのKAWAII LAB.総合プロデューサー、木村ミサさんが出演していて、その考え方に引き込まれたのです。TBS「日曜日の初耳学」で木村さんは令和アイドルの仕掛け人として登場。FRUITS ZIPPERやCANDY TUNEといった若い世代に支持されるアイドルグループのプロデュースを語っていました。アイドル文化に詳しくない私でも、マネージメント論として、そして「トレンドのつくられ方」という視点からも、学びが多かったです。
最も印象的だったのは、木村さんがプロデュースするグループには「センターがいない」こと。従来のアイドルグループはセンターポジションを巡り競争し、それがドラマを生んできました。でも木村さんがプロデュースするグループは全員に光が当たって主役となり、それぞれにファンがいて、グループとしてまとまっています。つまりヒエラルキーがない世界。そのふんわりとしたまとまりで「原宿から世界へ」を目指しています。
その話を聞いて、ファッショントレンドの生まれ方、生み方の変遷と同じだな、と思いました。ファッション産業は長く、「上から下」へトレンドを打ち出す手法でビジネスを育ててきました。今もその名残はあるけれど縮小し、代わりに同時多発に各所でトレンドが発生しているのが今です。「上から下」はビジネスの仕組みとしてはわかりやすいけれど「同時多発」はとらえどころがない。この変化にいまだに戸惑っている多くの大人を他所に、若者たちはSNS上で「各所」のトレンドを渡り歩いて楽しんでいますよね。「中心」がなく一つの核では説明できない現状が、「センターがいない」アイドルの姿にファッショントレンドが重なって見えました。
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