PROFILE: ニルス・ストロイヤー・クリストファーセンー / 「フラマ」クリエイティブ・ディレクター

デンマーク発ライフスタイルブランド「フラマ(FRAMA)」は9月、パルコ渋谷内に海外初のショップをオープンした。同ブランドは、家具やプロダクトのデザインやプロデュースを手掛けるデザインスタジオのフラマによるもの。日本では、ハンドソープやキャンドル、フレグランスなどのケアラインを中心にシロの子会社で欧州ブランド中心に事業展開するビオトープが輸入販売を手掛けている。ショップオープンのために来日した「フラマ」のニルス・ストロイヤー・クリストファーセン=クリエイティブ・ディレクターに話を聞いた。
WWD:ブランドをスタートしたきっかけは?
ニルス・ストロイヤー・クリストファーセン=「フラマ」クリエイティブ・ディレクター(以下、クリストファーセン):デザインスタジオを立ち上げた当初は、ヨーロッパのさまざまなブランドの広報やイベント企画、セールスなどを手掛けていた。建設業界で働いたことがあったので建築や空間に興味があり、11年にシンプルな家具や陶器のコレクションを制作して見本市で発表したのがブランドの始まりだ。家具も陶器も、自然素材のピュアな魅力を伝えたかった。「フラマ」では、人と人との感覚的なつながりにフォーカスし、あえて素材そのものを生かした普遍的なアンチデザイン的な空間やモノを提案している。
WWD:コペンハーゲンには多くのデザインスタジオがあるが、他のスタジオと違う点は?
クリストファーセン:多くのデザインスタジオは、デンマーク人のみのスタッフで構成。一方で、我々のスタジオはとても国際的。40人のうち、7割がカナダや韓国出身のさまざまな国籍だ。だから、国際的な視野でプロジェクトを進めることができるし、多様性に富んだスタッフのアイデアを反映したユニークなものができる。
空間からビューティまでオルタナティブな選択肢を提案
WWD :インテリアからビューティへ派生したのは?
クリストファーセン:家具とビューティというと販路も違うし、あまり親和性がないかもしれない。だが、14年にスタジオを1878年創業の薬局があった建物に引っ越した。その歴史的な空間が着想源になり、友人の調香師にその薬局の香りを制作してもらった。香りは感覚的なもので、触れることができない。香りを通して家具とは異なる体験を提供できると思い、16年にケアラインが生まれた。
WWD:ターゲットや競合ブランドは?
クリストファーセン:ハンドウオッシュがベストセラーだ。「イソップ(AESOP)」や「ディプティック(DIPTYQUE)」などと比較されることもある。ターゲットは、建築や文化に興味がある人。また、われわれの家具が好きで香りも「フラマ」を選んでくれる人もいる。
WWD:「フラマ」のブランド哲学は?
クリストファーセン:コペンハーゲンでは、カフェ併設の旗艦店で家具やケアラインを販売するほか、ワインバーの運営にも携わっている。今後は、ゲストハウスをオープンする予定だ。「フラマ」は多面性のあるブランド。現在の消費者は単なるライフスタイルブランドではなく、それ以上のものを求めている。だから、ショップを展開する場所やコミュニティを反映した立体的なブランドにしたいと考える。私が「フラマ」を作ったのは、他のブランド異なる美の表現をしたいと思ったから。生産量が多いモノではなくオルタナティブな選択肢を提供していきたい。人と人をつなぐようなブランドになりたい。
世界30ヵ国で販売、オーガニックな成長を目指す
WWD:現在「フラマ」を何カ国、何店舗で展開しているか?
クリストファーセン:約30カ国で展開している。主要市場は、ヨーロッパ、その次がアメリカだ。今後はアートやファッションの中心地であるパリやニューヨーク、ロンドンなどにも出店したい。
WWD:海外初の店舗を日本に出店する理由と目的は?
クリストファーセン:日本のパートナーであるビオトープと5〜6年ビジネスをしてきて、共に成長してきた。卸では、約80店舗で販売するまでに成長した。レストランやブティックホテル、ゲストハウスなどアメニティの販路も広げた。渋谷パルコについては、館の改装などいろいろな要素が重なって出店が決まった。パルコは国際的なブランドやファッションとビューティをミックス提案するファッションビルで、われわれが店舗を構える3階のコンセプトは”グローバルニッチ”。トラフィックも多く、小さいショップだが「フラマ」の世界観を感じてもらうには理想的な場所だ。今後、他の商業施設への出店なども視野に入れながらオーガニックに成長させていきたい。