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日本ロレアルが「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」発表 高校生とジェンダー・バイアス討論会も

 日本ロレアルは9月7日、日本ユネスコと共同で第17回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の授賞式を国際連合大学で開催した。今年は、山形県立米沢興譲館高等学校の高校生167人がリモートで参加し、科学・教育分野の有識者とのパネルディスカッションを行い、科学分野におけるジェンダー平等や進路選択におけるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見・思い込み)について語り合った。

 第17回の今回は51人の応募があり、例年と同様、物質科学分野と生命科学分野からそれぞれ2人の受賞者が選ばれた。物質科学分野では広島大学大学院先進理工系科学研究科助教の片山春菜氏と、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻フッ素有機化学研究室特任教授の木幡愛氏が受賞した。片山氏の研究は、電気回路ブラックホールから放出される特異な量子相関を持ったホーキング放射に関するもので、量子コンピュータなど次世代情報処理・通信の実現への貢献が期待される。木幡氏の研究は、DNAやRNAに代表される核酸の治療薬への実用化・応用範囲拡大のための分子ツールの設計で、難治性疾患の治療への貢献が考えられる。

 生命科学分野では東北大学大学院歯学研究科歯科口腔麻酔学分野水田研究室の佐々木晴香氏と、東京大学大学院薬学系研究科薬品作用学教室の野口朝子氏が受賞した。佐々木氏の研究は、喘息の病態におけるメラトニンの関与を明らかにし、新たな治療薬や創薬基盤の確立に貢献するもの。野口氏の研究は、記憶情報の多様性に対応する神経回路メカニズムを解明するもので、限られた細胞で膨大な情報を処理する神経システムの理解に貢献するものとして評価された。

 パネルディスカッションには、岡村直子=文部科学省国際統括官兼日本ユネスコ国内委員会事務総長、川合眞紀=自然科学研究機構 機構長、佐々木成江お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所特任教授らが登壇。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の女性研究者の割合が17.5%と加盟国中最下位であることなどが示された。また、科学分野では多くの研究や開発が男性を基準に、あるいは対象として進められ、それがもたらす影響が見過ごされやすいことなども紹介された。

 高校生からの「女性科学者が少ないことの何が問題で、どんな対策ができるか」との問いに、「社会や組織で女性が活躍すると経済的な恩恵が得られるとのエビデンスがある。文科省の対策として理系学部の推薦枠に女性枠を設けたり、お茶の水女子大学や奈良女子大学が工学部を設置したりしている」(佐々木=お茶の水女子大学特任教授)と答えるなど、ジェンダーによるアンコンシャス・バイアスを払拭するための最適解について話し合った。

 同賞は、日本の若手女性科学者が、国内の教育・研究期間で研究活動を継続できるように奨励することを目的に、2005年11月に日本ロレアルが日本ユネスコ国内委員会と協力し創設した。物質科学や生命科学を研究する大学院博士課程に在籍または進学予定の女性を対象としている。受賞者には、奨学金100万円が贈られる。

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