1. 個人クリエイターに“定額収入”を、4600万円を調達したファンクラブ作成アプリ「CHIP」とは?

個人クリエイターに“定額収入”を、4600万円を調達したファンクラブ作成アプリ「CHIP」とは?

アプリ・ウェブサイト キャリア インタビュー

2018/12/10 (MON) 02:00

 誰でも簡単にファンクラブを作成できるアプリ「CHIP(チップ)」を8月にリリースしたRINACITAがEast VenturesやX Capital、他個人投資家などを引受先とした第三者割当増資を実施し、4600万円の資金調達をした。現在2万ダウンロードとまだまだ駆け出しのサービスだが、投げ銭などとは異なる形でアーティストが安定して収入を得るための新しい仕組み作りとして注目を集めている。サービスを立ち上げた21歳の小澤昂大・社長に、個人クリエイターのビジネスモデルの可能性について聞いた。

WWD:どうしてファンクラブをプラットフォーム化しようと考えたのか。

小澤昂大・社長(以下、小澤):もともとビジネスには全く興味がなくて、どちらかというと作り手側だったんです。親がアート系出身でアトリエをやっていたり、親戚にも音楽関係の人が多くて、小さい頃からアートや音楽には触れていたので、僕も小さい頃からドラムやクラシックをやっていて。高校でもバンドや吹奏楽ばかりでした。でも、大学進学時にアーティストとして生きていくのは大変だなと思って、僕は進学を選んだわけですが、その頃まわりを見ても、舞台美術とかアニメーターをやりたい、クリエイターとして生きていきたいという人がお金がないために諦めるという状況が多々ありました。今思うとあの頃の経験が生きているんだと思います。

大学ではプログラミングを専攻しながらメディアアートをやっていたんですが、大学に通うかたわら、新しい経験がしたくて、ほとんどの時間をインターンに費やすようになりました。サークルの先輩経由で紹介してもらったベンチャー企業を経て、2年生の夏からはヤフーやサイバーエージェント、マイクロソフトなどのインターンを経験しました。2年生の冬にはメルカリのインターンで海外に行かせてもらったり、こうした経験を経てエンジニアとしての成長も感じたので、2年生の終わり(今年のはじめ頃)には入学当初考えていたことを具現化しようと思ったんです。感動を生むアーティストを育てるプラットフォームをウェブサービスとして作ることで、もっといろんなアーティストが出てくると考えました。そうして3月に会社を作り、インターン先で仲良くなった現CTOと2人でリリースまでこぎつけた感じです。

WWD:「CHIP」というサービスを一言で説明すると?

小澤:誰でも月額課金制のファンクラブを作ることができるサービスです。手数料10%を除いた売り上げが直接アーティストに入ります。本来マネジメントにはいろんな工数がかかるのでどうしても手数料が高くなってしまうのですが、手数料がかかる部分を自動化することで極力アーティストの取り分を増やすことを意識しました。今の時代SNSやライブ配信などが主流になったので、アーティスト個人でも稼ぎやすい時代になりましたが、彼らに新しい収入のあり方を提案したいなと。

WWD:どんなアーティストに使ってほしいか。

小澤:一番使ってもらいたいのは、インディーズバンドやネットで音楽を配信している歌い手、イラストレーターといったクリエイターの方々です。いい作品を作ることができてもマネタイズが上手くいかない人は多いんですが、最近では事務所に所属しない個人クリエイターが増える中で、マネタイズをシステム化することで、いい作品を作ってきちんと活動していれば上手くお金が回る仕組みを作りたいんです。

WWD:現在のサービスの規模は?

小澤:オーガニックに伸びて、現在2万ダウンロードを超えました。特に資金調達のリリース以後、他の企業からのお誘いがあったり、事務所からも問い合わせがありました。また、配信当日AbemaTVが取り上げてくれたこともあって、ユーザーが増えたのはうれしかったですね。今は実際の運用を通じてバグ改善や機能追加をしている段階ですが、資金調達を機に、採用や開発に力を入れ、来年3月にかけてさらなるアップデートをしたいと考えています。

WWD:アーティストなど使い手からの反応は?

小澤:今はまだユーザー層がまばらですが、ちゃんと刺さるところには刺さっていて。例えば、活動を諦めかけていたインディーズバンドが収入が増えたのでもう少し頑張ってみようとか、もう少し頑張れば「CHIP」だけで生きていけるという人も出てきました。今はまだ“ファンクラブアプリ”なので、すでにファンがついているアーティストにしかお金が回らないのですが、今後のアップデートで「CHIP」をある種の表現の場として機能させたくて。アーティストがファンを増やす場にすることで、さらなる可能性があると思っています。

WWD:国内企業に競合はいるのか。

小澤:既存のファンクラブを作っている会社は競合になるのかもしれませんが、彼らは大手事務所の案件として大きな規模のファンクラブを作っていたわけで、ここではお金のあるトップ層だけが優遇されてしまう構造がどうしても発生してしまいます。お金がなくてファンクラブを作れないアーティストを囲っていくという意味では独自かもしれませんね。ファッションECでも大手企業のECサイトに対して「BASE」のようなサービスを使って誰もが無料でサイトを作ることができる感覚に近いですよね。今後のアップデートによって、さらにアーティストの活動のためのプラットフォームを目指すので、そうなると競合はかなり少ないかもしれません。

WWD:ライブ配信のような課金制プラットフォームは競合にならない?

小澤:アーティストがいろんなプラットフォームで活動するという点ではそれぞれ似たサービスかもしれませんが、併用できるので競合にはならないんです。最大の特徴は月額課金という部分で、たとえば1人1000円でも100人集まれば毎月10万円はいるわけじゃないですか。これってアーティストにとってはすごく安定した収入になると思うんです。

WWD:サービスを作る上で参考にしたサービスは?

小澤:まず、単純に好きな会社はピンタレストです。会社としてのクリエイティブな雰囲気とか、サービス自体もすごく好きで。ピンタレストでは作品ベースで素材を探して共有しますが、これってアーティストベースにも置き換えられると思っていて。でも、いい作品を作るアーティストはたくさんいるのに、彼らがファンと出会う場所がないんです。そういった意味ではインディーズを探すためのマッチングプラットフォームとしての可能性もあるなと思っています。

また、似ている業種では、アメリカにパトレオンという会社があって、インディーズで活動するアーティストにパトロンをつけるようなサービスをやっています。ここも創業者がアーティストで、すでに毎月数千万円稼ぐようなアーティストもいるらしくて。目標でもあるし、とても尊敬している会社です。

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