ビューティ

2020年はどうなる!? 美容シーンのトレンド予測

 今年も残すところあとわずか。2020年の美容シーンは、いったいどうなるのか? 個人的な視点でトレンドを予測してみたい。

注目色は「イエロー」。
メイクはキレイ色の流行が続く

 まず年明け早々登場する「2020年・春夏のメイクコレクション」から、流行の傾向を。19年はネオンカラーや赤のワントーンメイクなど「鮮やかな色と発色」のメイクが流行したけれど、このトレンドは春夏も続きそうだ。

 注目カラーは、断然「イエロー」。これまでイエローはポップな発色が目立ったが(肌なじみの点で取り入れるのが難しい面も)、20年のイエローは大人の女性にこそ挑戦して欲しい秀逸なカラーがそろっている。リップのベースや、アイシャドウの粉体が進化したことで実現した質感だ。

 その代表ともいえるのが、20年1月10日発売の「スック(SUQQU)」の「デザイニング カラー アイズ 15」。シルキーな粉体が、まぶたに溶け込むようになじむ4色で、右上のイエローは目元全体に温かみをプラス。左下のオレンジや右下のパープルと組み合わせることで、イキイキとした「楽しげな表情」「ポジティブな表情」を演出する。

 数年前までメイクのキーワードは「モテ」であったけれど、今後は自分自身が楽しそうであること……他者の視線より「自己肯定感を抱ける表情」が注目されるように思う。

 20年1月3日にRMKから登場するのは、人気のシングルカラーアイシャドウ「RMK カラールックアイズ 02」。大粒のパールを散りばめたイエローゴールドだ。きめ細かな粉体でまぶたにしっとりなじみ、角度が変わるごとに揺らめく輝きが美しい。オリンピックメダルを彷彿とさせるデザインでもあり、20年という一年の幕開けにふさわしいアイテムといえるだろう。

 アディクション(ADDICTION)からは、20年1月3日にクリエイティブディレクターKANAKO初のコレクションが登場する。ハッとするような原色の中で、ひときわ目を引くのが「カラーコントロールリップバーム L 004」だ。一見鮮烈なイエローだが、実際塗ってみると透け感が秀逸。バーム状のスティックが唇の上でとろけ、唇の赤を透かしてほんのりオレンジのニュアンスに仕上がる。ブラウン系やレッド系リップの重ね色としても活躍し、何より見た目の鮮やかなイエローが、前向きな気分へと誘ってくれそうだ。

 ベースや粉体の進化によって、肌なじみが優秀なイエロー。メイクのワンポイントに取り入れることで、20年らしい表情を手に入れたい。

スキンケアのキーワードは
「サステナブル」と「効果」の両立

 本サイトでも度々取り上げている「サステナブル」(直訳は「持続可能な」。地球環境を破壊することなく維持できるという意味で使われる)は、美容の領域でも重要なキーワードだ。これまではオーガニック&ナチュラルブランドがけん引してきたが、現在は大手メーカーにも広く浸透中。特にスキンケアの分野において、20年は「サステナブル」と「肌への効果」を両立した製品が充実しそうだ。

 その代表例が、エキップから2020年2月19日に登場する「アスレティア(ATHLETIA)」。共通成分であるアシタバとシソは循環型の農園で栽培し、「コアバランス トーニングローション」に用いた容器は、リサイクルガラスを採用している(リサイクルガラス使用率90%を実現したのは、業界でも最高水準という)環境への配慮に加え、「アスレティア」の特徴の1つは、背景にカネボウ化粧品が長年培ったスキンケア技術が存在することだ。コメ発酵エキスに独自のバイオ技術を用いて肌への働きを向上させ、感性研究に基づいて、テクスチャーのクッション性や浸透感にこだわっている。

 以下は私見だが、20年以降も大手メーカーの関連会社から、このようなサステナブルと肌への効果を両立した、新たなスキンケアブランドが登場することに期待したい。

 一方、オーガニックコスメのパイオニアであるジュリーク(JURLIQUE)は、1985年の創業当時から持続可能な製品の実現に力を注いできた。オーストラリアの自社農園において、バイオダイナミック農法を実践し、同地の倉庫や工場にソーラーパネルを設置して自家発電に取り組んでいる。お家芸ともいえるサステナブルな物づくりに加え、ポーラ・オルビスグループの一員となってからは、オーガニック植物由来成分の科学的な分析や、独自成分の開発に注力している印象だ。

 20年1月25日に誕生する「ニュートリディファイン コレクション」は、植物の恵みとサイエンスの力を結集したエイジングケア。中心製品の「ニュートリディファイン セラム S」には、Ⅶ型コラーゲンの産生効果が確認されたスピランティス花エキスを配合。植物由来のマイクロリポソームや、植物成分を駆使した乳化技術を採用し、感触や浸透感も非常に洗練されたシリーズとなっている。

 今回はオーガニック&ナチュラル系のブランドを取り上げたが、2020年以降、デパートやドラッグストアで展開するごく一般的なスキンケアにおいても、「サステナブル」な取り組みと「効果実感」の両立は進んでいくように思う。

ベースメイクは、
もはやスキンケアの領域へ

 そして個人的に最も注目し、その進化に感動せずにはいられないのが、「ベースメイク」の領域だ。20年春は「これはもはや『肌色のクリーム』と呼んで差し支えないのでは!?」と思える、スキンケア効果に優れたアイテムが充実している。

 ヘレナ ルビンンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)から20年2月7日に登場する「プロディジー CELグロウ エッセンス ファンデーション」は、処方の約9割をスキンケア成分が占めている。3種の方法で抽出したエーデルワイス由来成分と、肌の上でほわっととろけるやわらかなテクスチャーによって、引き出されるのはまるで湯上がりのように自然な艶感。未だにファンデーションは「肌に負担を与えそう」というイメージが根強いが、つけている間中トリートメント効果が期待できる1品だ。

 コスメデコルテ(DECORTE)から20年3月16日に誕生するのは、ノンケミカルで保湿力に優れた「AQ エクストラ プロテクション」。乳液そのもののように滑らかなテクスチャーには、ビタミンE誘導体、エクトインなどの保湿成分を配合し、肌をしっとり包み込む。AQシリーズは「肌の感性」に注目しており、肌と心をリラックス状態に導くような感触や、月下美人をアクセントにした香りを採用している。ちなみにこの「肌と心の関係」に注目したコスメも、20年のトレンドとなりそうだ。

 メイクアップ、スキンケア、ベースメイク、それぞれに進化を遂げる20年春。製品そのものはもちろんのこと、「自己肯定感」「サステナブル」「肌と心の関係性」など注目のキーワードが、女性たちにどんな風に受け入れられるのかに注目したい。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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