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島精機4〜9月期は赤字に転落、世界で進む“大量生産の見直し”が大打撃

 ニット機大手の島精機製作所の2020年4〜9月期は、売上高が前年同期比39.3%減の171億円で大幅減収だった。営業損益は、販売単価の下落や工場の稼働率の低下で粗利益率が悪化、加えて貸倒引当金繰入額の増加などで27億円の損失となり、赤字に転落した。5億円の為替差損を計上したため、経常損失は28億円、純損失は20億円だった。赤字決算はリーマンショックで世界で繊維生産の冷え込みが直撃した13年3月期通期以来となる。

 同社によると、大手アパレルを中心に大量生産・大量販売を見直す動きや環境負荷を軽減する世界的な機運の高まりから、生産を抑制する傾向が顕著になりつつあるという。特に中国、バングラデシュ、ベトナムのOEM生産工場で横編機の設備投資に対するマインドが想定以上に冷え込んだことが減収に大きく響いた。マインドの低下は、近年中国を中心に順調に伸びていた「ホールガーメント(WHOLEGARMENT)」横編機にも波及し、販売台数は前年同期の820台から600台に落ち込んだ。アジア地域の売上高は91億円で同38.6%減。横編機全体の販売実績は同45.7%減と大幅に減少した。

 欧州アパレル向けの生産拠点である中東のトルコでは、リラ安・金利高でユーザーの資金繰りが悪化し、設備投資が見送られた。その結果、中東地域の売上高は同84.3%減の4億6400万円と大幅減だった。同時に、トルコの販売代理店の資金回収が遅れる見通しとなったため、約6億円の貸倒引当金を繰り入れた。

 赤字決算を招いた経済環境の悪化について島三博社長は「リーマンショックを超える肌感覚がある。米中貿易摩擦や香港動乱などのネガティブな要因がいままで経験したことがない形で重なってきた」と語った。さらに直接的な要因については「昨年の秋以降に起きたバングラデシュの市場変化を読み違えたことも大きかった。工場間の過当競争により、中国企業の安い機械を使って低工賃でオーダーを受けようとする傾向がある。ボリュームゾーンが増えて価格競争が激化しているシューズの落ち込みも影響した」。

 今後はボリュームゾーン生産からの脱却と付加価値の高いもの作りをサポートするためのソリューションの提案に注力していく。バングラデシュでは今年初めからホールガーメントの技術者養成支援をスタート。さらに素材開発から店頭までのトータルでアパレル業界の問題解決に取り組むため、開発投資も増やしていく。「アパレルの転換期をチャンスとして捉え、ソリューション提案をひとつのきっかけにしたい」とし、今上期は開発費として約18億円を投じた。一方で、工場の自動化、合理化を進めて大幅なコストダウンも図っていく。

 下期に関しても低調な受注環境は続く見通しで、20年3月期通期も、赤字解消は見込めず、売上高は400億円、営業損失は36億円、経常損失35億円、純損失24億円の見込み。