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成功の鍵は“広場”!? 池袋は大規模再開発で生まれ変わるか

 2018年3月に開業予定の「東京ミッドタウン日比谷(TOKYO MIDTOWN HIBIYA)」や芝浦の大型複合施設計画、渋谷駅の再開発など、オリンピックを前に東京の商業施設開発は過熱しています。そんな中、地道に駅周辺の再開発を続ける街・池袋に少し注目をしてみたいと思います。

 そもそも、池袋と聞いて、どんな印象を持つでしょうか。JR線や地下鉄丸ノ内線、副都心線、有楽町線、西武鉄道、東武鉄道など、交通のハブとしては非常に利便性の高い場所。駅に直結して西武百貨店と東武百貨店、ルミネ、パルコがあり、週末の買い物にも困りません。他にも駅から少し離れたサンシャインシティや西武直結の「無印良品」、大通りにできた「ユニクロ」の大型店舗など、買い物をするには充実のラインアップです。しかし、ドラマや小説の印象なのか、治安がいま一つといったネガティブなイメージが強いのも事実でしょう。

 そんな池袋の街が、大きく変わろうとしています。きっかけとなったのは、2015年の豊島区役所の移転でした。財政難に悩む豊島区が老朽化による区役所移転を実現するために、新庁舎の上層階を住宅フロアとして販売し、建設費に充てたのです。旧区役所跡地も定期借家として民間に貸し出すことで、さらなる資金調達に成功しました。新庁舎と超高層マンションを一体開発するという画期的なデザイン案を監修したのは建築家・隈研吾さんでした。

 その後、新庁舎の近くにオシャレなカフェレストランを併設した南池袋公園が開園。マルシェやヨガイベントなどを積極的に誘致し、イメージ刷新に乗り出しました。実際に豊島区は「国際アート・カルチャー都市」構想を政策として掲げ、区として文化・芸術イベントを誘致しています。庁舎跡地エリアも20年までに「ハレザ池袋」という映画館を含む巨大商業施設群に変わり、周辺の公園整備も含めて、区主体で大幅に街のあり方が変わってきました。

 駅周辺では、企業が中心となって大規模な再開発を進めています。西武グループの西武プロパティーズは19年春までに線路上空と線路西側の土地を活用して低層部分に商業施設を配した地下2階・地上20階のオフィスビルを建設します。東武鉄道も西口に位置する東武百貨店と西口公園、バスターミナルを複数のビル群に建て替える市街地再開発を計画しています。これによって、池袋駅を挟んで西口と東口が地上・地下でつながるとともに、駅直結の百貨店と駅ビルに加えて、駅前の公園や劇場、商業ビルなどが立ち並ぶ超大型商業タウンが出来上がるのです。駅に隣接する「池袋西口公園」も再開発によって19年秋までに野外劇場が整備されます。そんな取り組みの効果もあってか、「HOME'S(ホームズ)住みたい街ランキング2017年」で、池袋が“首都圏の借りて住みたい街”1位になったことも話題になりました。

 池袋再開発最大の特徴は、区を筆頭に街全体がつながる再開発だということです。商業施設がたくさん建つだけでなく、その周理に公園や野外劇場、空中通路などたくさんの“広場”ができるのです。これはビルがひしめく他の主要都市にはない特徴で、広場を中心に都市を組み立てる欧米式の都市開発にも似ています。“広場”を中心に街全体を作ることで人々の回遊性も上がり、駅周辺から少し離れた商業施設まで人が満遍なく滞在するようになれば、主要都市ながらも建物内外でゆったり過ごせる繁華街として、かつてない街ができるはず。5年後の池袋に期待です。

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