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三陽商会、不動産取引問題の調査報告書を発表

 三陽商会は17日、東京・南青山の自社ビルの不動産の取引をめぐり、杉浦昌彦・前社長の知人男性が関与していた問題の調査報告書を発表した。1月6日から外部専門家(弁護士)による特別調査委員会を設置し、杉浦前社長をはじめとする関係者22人のヒアリング、メールなどの通信記録、交際費支出記録、取締役会の議事録、知人男性の背後関係の調査などを重ねてまとめたもの。

 この問題を最初に報じた「週刊文春」によると、知人男性は元渋谷区議。2016年11月に三陽商会が保有する青山ビルを知人男性が購入したいと持ち掛けたが、知人男性に詐欺容疑での逮捕歴があったため、同社は「適性に問題がある」と判断し、12月に交渉を中止した。同誌は知人男性が反社会勢力と近い関係にあると報じていた。

 今回の調査報告書によると、知人男性は青山ビルだけではなく、杉浦前社長を通じて三陽商会に複数の取引を持ち掛けていた。

 14年7月には知人男性の紹介によって米国のファッションブランドである「X社」に関連するビジネスについて協議が行われ、この時は合意には至らなかったが、16年11月に再び取締役会で議題に上げられた。また16年1月、三陽商会の取引先から株式持ち合い解消の申し出があったことを受けて、杉浦前社長は知人男性から紹介された「Y社」を取引先が保有する三陽商会株式の引受先候補と想定し、その旨をY社社長に打診していた模様だった。同じく16年7月ごろ、三陽商会が軽井沢に持つ遊休不動産の購入にも知人男性が名乗りをあげていた。

 特別調査委員会は、調査の結果、知人男性自体に反社会勢力と認められる事実はなかったとの結論を出した。だが、調査報告書では上場企業トップとしての自覚の欠如、ガバナンスの不備などを厳しく指摘している。発表を受けて三陽商会は「真摯に検討し対応する。当社の具体的な対応については決定次第、報告する」とコメントしている。

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