4月にルクアイーレにオープンした大阪店。新コンセプト「タイムレス×プログレス」を初めて表現
2001年に有楽町、03年に六本木ヒルズに出店してから多店舗化を進めてきたサザビーリーグのエストネーション(ESTNATION)が変革に挑んでいる。仕掛け人は、昨年8月に就任した堀江俊チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)だ。トゥモローランド出身で、02年に「エディション(EDITION)」を立ち上げ、コンセプトワークやバイヤーを務めてきた人物である。
13年春にサザビーリーグに転じて新業態開発などに着手したが、手腕を買われて「エストネーション」のリブランディング責任者として白羽の矢が立った。「エストネーションは六本木、銀座、有楽町という一等地に大型店があるという、ロケーションとスケール感が強み。もともとは“大人のラグジュアリー”を提案する業態だったが、近年ではターゲットを広げすぎたり、強みが見えない中小型店が増えたりと、“エストネーションらしさ”や、その発信力が弱まっていた。時代に合わせてモダナイズし、“ヒト・モノ・ウツワ”を全方位的に軸を作り直し、ブランド価値を上げたい」と堀江CCO。
新たなテーマは「ザ ファッション エンパイア」とは?
新たなテーマに掲げるのは「ザ ファッション エンパイア」。「大人の男女に向けてファッションのトキメキ感を与える“憧れの総本山”として、彼らのライフシーンに刺激を与えられるショップを目指す」という。最初に着手したのは、今後の方向性をビジュアルで内外に認めさせるための店作りだ。今年4月にルクアイーレにオープンした大阪店から、時代を経ても廃れず、深みを増していく「タイムレス×プログレス」をコンセプトにデザインを刷新した。“大人”の意味を“TPOに応じてウエアを使い分けられる人”と再定義し、仕事や趣味、休日などシーンに合わせたゾーン構成を強化した。
また、ユニセックスのアイウエアやスニーカー売り場を設置。「エストネーションはもともと、メンズとウィメンズの売り場の垣根が高かったが、それぞれの売り場のつなぎ目があってもいいのではと考えた。アイウエアは『オリバーピープルズ(ORIVER PEOPLES)』や『レイバン(RAYBAN)』など定番の約10ブランドをそろえた。スポーツスニーカーは、『ナイキ(NIKE)』『アディダス(ADIDAS)』『ニューバランス(NEW BALANCE)』など。これまでなじみがなかった人への提案として打ち出したところ、反響も良い」。8月21日にオープンする京都店でさらにコンセプトを深化させるとともに、既存店のリニューアルにも順次着手する予定だ。
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大阪店のユニセックスなスニーカーコーナー
商品面では、まずは商材の7割に当たる買い付け部分を強化。「15-16年秋冬の買い付けに当たり、ミーティングを重ね、バイヤーには“知性と色気と物語”をキーワードとして伝えた。ブランドを吟味し、メンズでは長く取り扱ってきたものでも、クオリティーや店の格に対する影響などを考慮して厳しく選別した他、ウィメンズでも女性像を見直し、ターゲットを35歳以上に絞った」。売り上げ重視で発信力のないブランドなどは見直しつつ、「カルチャーやファッションに寄りすぎずに、良い環境で良いものを欲しいという方々のニーズにも応えながら、一歩先のオシャレを提案したい」。独自性発揮に向けて、オリジナルも強化。福薗英貴デザイナーと協業した「ネイル」や、ニットとジャージーをメーンにした日本発の「フィルオー」など、「自分たちにしかない武器をどう作っていくか。ブランド数の増加やスケールメリットの創出、生産背景の確立なども含めて、拡充していきたい」と期待を語る。
旗艦店の六本木ヒルズ店でも、大型改装はしていないが、すでに変化の芽が見えている。現在「ロエベ(LOEWE)」のポップアップストアをオープンしているが、9月からはプレタポルテを含めて、セレクトショップでは日本初の常設での販売をスタート。パリの老舗ジュエリー「レポシ」の取り扱いも開始する。
組織に大変革をもたらすには、スタッフのモチベーションを上げることが不可欠だ。「これまでエストネーションで働いてきた人たちや販売員の気持ちを大切にしつつ、大阪店のように少しずつ目に見える変化を作り、行動とともに繊細に思いを伝えることで、新生エストネーションに気持ちを向かわせたい」と堀江CCO。