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「マディソンブルー」ヒットの裏側

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 スタイリストの中山まりこが手掛ける「マディソンブルー」の快進撃が続いている。2014年春夏にロンハーマンのエクスクルーシブ展開で始動し、有力セレクトショップや百貨店からのオファーが殺到。立ち上げから約2年で卸先のアカウント数は50を数え、目黒に路面店を構えるブランドに成長した。

自分が服を着てきた経験を形にしたいと思った

WWDジャパン(以下、WWD):ブランドを立ち上げたきっかけは?

中山まりこ「マディソンブルー」ディレクター兼デザイナー(以下、中山):スタイリストは依頼を受けてスタイルを作る、いわば“レシーブする人”。“サーブを打つ人”になりたいと思ったことがきっかけです。作りのよいものやトレンド性のあるものは他にあるから、自分の経験を形にしようと考えました。例えば、1960年代にアイビースタイルのお姉さんに憧れて、小学校高学年のときに初めてボタンダウンシャツを着たときの感覚。古着のTシャツやワークシャツが大好きだけれど、年を重ねるにつれて「もっとこうだったら」と思うようになったことなどです。10万円でよいジャケットがあれば、インポート好きの人にも手に取ってもらえるのにな、とか。加えて、着方の提案もしたかった。自分がこれまで着てきた“エッセンシャルなアイテム”と、全身古着とも全身ブランドとも違うミックススタイルを表現して、それをお客さんに届けたいなと。ブランド名の由来はNYマディソンアベニューの“マディソン”と、大好きな“ブルー”。マディソンアベニューの「ラルフ ローレン」のお店が好きで(笑)。本当にカッコいいんです。

WWD:シャツの襟を抜く着方は「マディソンブルー」をきっかけに流行したと言っても過言ではないほど。「ちょっとした工夫がしっくりくる」という支持も多い。

中山:例えばシャツは襟を抜いて着られるよう台襟を逆に付けたり、日本人は肌の露出を気にする方も多いから、下着がギリギリ見えないところに来るようにボタン位置を決めたりと細かな工夫を凝らしています。袖もきちんとロールアップするのではなく、袖口を残してざっくりとまくる方が様になる。はやりのものを着なくても、シャツ一枚でこなれた雰囲気に仕上がるんです。“こなれた”って、そこかしこで言われすぎてあまり使いたくないけれど(笑)。シャツをくたくたになるまで洗って、えりが寝て素肌が見える感じはカッコいいし、デザイナーズブランドではそれができないとも思った。やっぱり“こなれた感じ”がやりたかったんです。

WWD:ワークシャツや3つボタンのブレザーなど、男性っぽいエッセンスを織り込みつつ女性らしさを際立たせるバランス感も絶妙だ。

中山:そう。3つボタンのブレザーは、ポケットをすごく大きくしてギリギリまでサイドに寄せて。私、ジャケットのポケットにペットボトルとか入れて歩きたいんです。ジャケットを自分のものにして着こなすことって、ジャケット自体がちゃんと道具になっていることだから。今の若い方はジャケットをなかなか着ないですよね。女性のジャケットに対する意識、変えたいなぁ。バランス感については、古着だけとか、ハイブランドだけ好きだったらこうはならなかった。やっぱりすべてミックスされていないとイヤで、“古着を着ている”“ハイブランドを着ている”“ブランドバッグを持っている”ことがパーソナリティーよりも前に出てしまうのは何か違う。すてきなスタイルで、「いいね、それどこの?」と聞かれるのが理想です。

WWD:ブランド設立時はシャツ6型だったが、現在のアイテム数は?

中山:2017年春夏コレクションは200型程度ですが、作りたいものがどんどんわいてきちゃって。50歳で始めると引き出しが違います。「すでに裏で鍋が3、4ついい感じに煮詰まってます」って具合(笑)。作りたいものがありすぎて、諦めなければならない状況です。今でこそそんな状態ですが、ファーストシーズンは50万円、次は100万円で10型、とざっくり計算してサンプルを作っていました。