PROFILE:1972年ロサンゼルスに生まれる。42歳。趣味はアイスホッケーやトレール・ランニング、マウンテンバイク、マリブの自宅近くの海でサーフィン。子ども時代は海とホッケー場を行き来しながら、父トミー・パースが営んでいたハイエンド・セレクトの「マックスフィールド」で時間を過ごして育った。80年代前半にいち早く「ヨウジヤマモト」や「コムデギャルソン」を扱い始め、「クロムハーツ」の創立当初から買い付けていた父とは対照的に、彼はシンプルなカジュアルスタイルを好んだ。理想的なベースボールキャップを見つけられず、91年に自身がデザインしたキャップを「マックスフィルド」で販売するようになった。94年にはTシャツラインをスタートし、瞬く間に人気に火がついた。96年にウィメンズのニットウエアブランド「ジェームス パース」を設立。98年にはメンズをスタート。2003年、マリブに初店舗をオープン
17年前、1万ドル(約121万円)のローンからスタートした「ジェーム スパース(JAMES PERSE)」のビジネスは、今では1億5000万ドル(約181億5000万円)の年間売り上げを誇り、アメリカやカナダ、イギリス、日本に60店舗を構えるまでに成長した。商品ラインアップはTシャツからウエア全般へと拡大しただけでなく、寝具やバスアイテムがそろうホーム・コレクションや、ソファやチェア、卓球台までを扱うファーニチャー・コレクションも扱う。メンズのジャケットやワークアウト用のショーツ、スイムウエアなどを主に扱うライン「ヨセミテ」も数百万ドル規模のビジネスに成長した。ロサンゼルス南部マリナ・デル・レイの本社でインタビューに応えたジェームス・パース創業者兼最高経営責任者(CEO)は、今後5年間で3億5000万ドル(約423億5000万円)の売り上げを目指すと明かし、アクセサリーの強化やブランドの世界観を詰め込んだ新しいショップの構想について語った。
「ジェームス パース」青山店にディスプレイされている卓球台
「ジェームス パース」のビジネスのうち、ウエアが全体の85%、残りをホーム用品が占める。ジェームス・パースCEOは、「さらなる成長のためにはアクセサリーの強化が欠かせない」と話す。今年中に、インハウスで手掛けたメンズ・ウィメンズのバッグやシューズ、ジュエリー、革小物をローンチする。「アクセサリーを充実させることで、爆発的な成長を見込んでいる。将来的にはビジネスを10億ドル(約1210億円)規模に拡大することも可能だろう。『次は何が来るか』と顧客が楽しみにしてくれるような限定商品も定期的に発表していきたい」。
遊び心のある商品展開も「ジェームス パース」の魅力だ。一部店舗で販売するファーニチャー・コレクションについて、「ベストセラーはなんと、卓球台なんだ」とパースCEO。「商品ラインアップを増やす時、いろんな人から『カシミヤの高級ビキニを作るべきだ』みたいな提案をされることが多いけれど、イマイチしっくりこない。だから自転車と卓球台を作った。その方が僕らしいからね」と話す。卓球台の価格は2万4500ドル(約296万4500円)だ。ちなみにビリヤード台にもなるハイブリッド型の卓球台は2万9000ドル(約350万9000円)。高級ビキニや“ITバッグ”より利益率も高そうだ。なお、ホームとファーニチャー・コレクションは日本では未発売。アクセサリー強化とともに、今後はオンラインにも目を向けるという。「これまで本格的にマーケティングや広告宣伝を行ったことはなかったが、デジタルへの移行が進む今、そろそろ本腰を入れてやらないといけない。今はインスタグラムのアカウントしかないから」と笑った。
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ブランドの世界観は実店舗が体現する
マリナ・デル・レイのジェームス パース本社
パースCEOは事業の運営について、「店舗の構想からオフィスまで、何をするにも戦略がある。僕はコントロール・フリークなんだ。全てを完璧に仕上げるのは無理だけどね」と話す。彼の一番の誇りは、かつて卸70%・小売り30%だったビジネスの構成比を逆転させたことだという。「ここ5年間は小売りでの売り上げを増やすことに力を入れてきた。自分のブランドをコントロールするにはとても重要なことだ」。今夏までに、ニューヨークにはブリーカー・ストリートとチャーチ・ストリートに1店舗ずつオープンするほか、マディソン街の既存店を、アパレルとホーム・コレクションが融合した新たなコンセプトを反映したショップにリニューアルする。ロンドンではドーバー・ストリートに出店するとともに、旗艦店のロケーションを探しているという。他にもフランスのリゾート地サントロペや、メキシコへの出店も予定している。パリや韓国、香港、中東への出店も目指している。
卸については、ヨーロッパでは取引先を一部増やすが、「小売りが拡大すれば、必然的にパーセンテージは下がっていくだろう」と予想する。「小売りで成功するか否は、“体験”を作り出せるかにかかっている。皆がこぞって注力しているECビジネスは、ブランドがより多くの人にリーチする素晴らしい方法だし、顧客にとっても便利。だが、出向くだけの価値がある店舗づくりもしなければならない」とパスCEO。彼が10年ほど前からあたためてきたプランは、ブランドの“ホスピタリティーと小売り”のコンセプトを体現するショップを、メキシコのカボ・サン・ルーカスにオープンすることだ。ついに半年後には詳細を明らかにできるというパースCEOは「カボ・サン・ルーカスは最も好きな場所の一つで、あそこにショップを出すのが夢なんだ。建築から店舗のアイデアまで、これまでの『ジェーム スパース』にはなかった世界観を見せられるだろう」と話す。
目指すのはアップル
着々とビジネス拡大を進める同社だが、他社にビジネスを売却する可能性はないという。「いろんな企業からアプローチを受けたが、忙しくてそれどころじゃないよ。自分でやりたいことが山ほど残っている今の僕には、売却という選択肢はない」。競合ブランドについて問われると、「あまり考えていない。あえてゴールを設定するなら、アップルかな。アップルは世界で最も愛されているブランド。われわれもそんなブランドを目指している」と話した。「欲しいものは全てそろった。『ジェームス パース』の世界はすでに出来上がっている。あとは、それでどこまで楽しめるか。それだけだ」。