ファッション

YouTuberから起業家へ――デジタル時代の申し子、ミシェル・ファンが見据える未来

 YouTubeに投稿したメイク動画が人気を集め、今や世界中に数百万人のフォロワーを抱えるメイクアップ・アーティストのミシェル・ファン(Michelle Phan)が来日した。化粧品業界では元祖YouTuber(ユーチューバー)として知られ、自身のメイクアップブランド「エム(em)」やサンプリングボックスの定期購入サービス「イプシー(ipsy)」をプロデュースする女性起業家としての活躍が目覚ましい。デジタル時代の申し子であるファンが見据える、デジタル時代の未来について話しを聞いた。

 ミシェル・ファンが初めてYouTubeに動画を投稿したのは2007年。YouTubeがサービスを開始したわずか2年後のことだった。「当時、私はまだ高校を卒業したばかりだった。初めてYouTubeを見た時、『これは世界中に配信できる未来のテレビだ。しかも自分のチャンネルが無料で持てるなんて!』と感激した」と振り返る。「最初は自分のメイクテクニックを多くの人が学んでくれるだけで満足していたけれど、だんだんと自分を中心に多くの人がつながっていくのが見えるようになった。そこに新しいマーケットの可能性を感じるようになった」。そして広告収入を得られるようになったことをきっかけに、デジタルコンテンツの制作に専念するようになった。

 転機が訪れたのは、2010年。デジタル・クリエイターとして「ランコム(LANCOME)」と3年間の契約を交わしたのだ。YouTubeすらメジャーではなかった当時、苦労も多かったという。「広告代理店や宣伝部の人に、YouTubeの魅力を説明するのには骨が折れた。撮影の時も、彼らは『新品の製品を使ってくれ』って言ったけど、断った。だって、カラーパレットから実際に色が減っていなかったら、私が愛用していることなんて全く伝わらないでしょ?」。広告で見せるパーフェクトな製品像を壊して、どれほどの宣伝効果が得られるのか―そんな周囲の疑念は、次第に動画の再生回数が上がるとともに払拭され、ファンへの信頼度も増していった。

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