ファッション

インバウンド・バブル崩壊 過渡期にある百貨店ビジネスに必要なこと

 中国人を中心にした外国人旅行客による“爆買い”急減と株安による国内富裕層の買い控えというダブルパンチを受けて、今春の百貨店の売り上げは落ち込んだ。百貨店の5月度売上高は、三越伊勢丹が前年同月比91.3%、高島屋が同98.1%、そごう・西武が同96.1%、大丸心斎橋店を縮小営業している大丸松坂屋百貨店が同92.8%、阪急阪神百貨店が同98.3%と軒並み前年割れとなった。特に時計や宝飾といった高額品への影響は大きく、三越伊勢丹の基幹3店の宝飾・時計は5割減だった。

 2014年10月1日に外国人旅行者向け消費税免税枠が大幅に拡大されたことで火が付いた“爆買い”だが、今年4月8日に中国政府が海外購入品に対する関税を大幅に引き上げたことで急ブレーキがかかった。中国国外で購入した高級腕時計への関税は30%から60%へ引き上げられたのだから高額品の消費意欲が減退するのは当たり前だが、ここまで短期間で急激に盛り上がり、そして失速するとはまさにインバウンド・バブルだ。“爆買いはボーナスのようなもの、これに依存しては危険”。百貨店関係者の多くは自戒してきたが、収縮は予想以上に早く、その打撃は大きい。追い打ちをかけるように株安により、国内富裕層の購買も鈍化し、宝飾や時計といった高額品はダブルパンチを受けている。

 インバウンド・バブルがはじけ、いよいよ“婦人服不振”“中間層不振”“地方不振”という百貨店が直面する大命題への取り組みが待ったなしになった。もちろんこの1年、各社は中間層・婦人服という、百貨店ボリュームゾーンの不振にただ手をこまねいてきたわけではない。そごう・西武が力を入れる自主開発商品やオムニチャネル、三越伊勢丹の自主編集売り場の強化、松屋銀座に代表される靴を中心にした服飾雑貨の拡充、大丸松坂屋のテナント導入と外商強化など各社がそれぞれの強みを生かした施策を打っている。阪急阪神百貨店の5月が98.3%と、前年割れながらも他社に比べて堅調なのは、今春に行った婦人服売り場の改装の成果でもある。改装後の数字について同社幹部は、「決して満足いくものではない。が、何もしなければもっと落としていただろう。攻め続けなければ」と語る。

 インバウンドは客単価こそダウンしたものの客数はむしろ増えている。これから20年のオリンピックに向けて、訪日外国人の数は増えることはあれ、減ることはまずないだろう。観光目的で日本を訪れるインバウンド客が買い物で求めるものは、日本人客のそれと変わらなくなっている。だからこそ、日本人に向けても外国人に向けても、本来の提案力や接客力がこれからの勝負を分けることになる。

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