実店舗を持たず、オンラインストアと不定期開催のポップアップを中心に独自の世界観を発信するビンテージショップ「セルズ セルズ(cells cells)」。
本連載「東京ビンテージショップガイド for GIRL'S」では、スタイリストやバイヤー、モデル、フォトグラファー、エディターなど、“ビンテージラバーズ”な業界人にフォーカス。毎回ゲストを迎え、リアルに通う信頼の古着屋や気になっていたショップを巡りながら、ビンテージの楽しみ方をひもといていく。
第3回のゲストは、ジャンルレスな音楽性と独自の感性で注目を集めるアーティストのシャンユーさん。彼女が「ここでは新しい自分に出会える」と話す「セルズ セルズ」の魅力とは?今回は、中目黒で開催されたポップアップストアに同行し、彼女の“宝探し”に密着した。
「セルズ セルズ」とは?
2025年11月にスタートした「セルズ セルズ」は、東京・中目黒の名店「ジャンティーク(JANTIQUES)」で経験を積んだ浅田恵美オーナーが手掛けるビンテージショップだ。店名には、「小さなもの(=細胞)がたくさん集まる場所」という意味が込められており、浅田オーナーが幼少期から洋服よりも靴やバッグ、ジュエリー、雑貨、スーベニアなどの“小物”を好んできたことがその由来になっているそうだ。
そんな背景もあり、同店最大の魅力はビンテージ小物の豊富なラインアップだ。浅田オーナーがアメリカを中心に買い付けたアイテムが、店内にずらりと並ぶ。「ホーミーズ(HOMIES)」のキャラクターフィギュアやキュートなアメリカンマグネット、カラフルなスケルトン受話器など、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような胸が高鳴る品ぞろえ。もちろん、古着やバッグ、アイウエア、帽子、アクセサリーなどのファッションアイテムも充実している。
中でも浅田オーナーのおすすめは、1960〜70年代のハットピン。海外企業のロゴがデザインされたレトロなアイテムで、「ニットや帽子に付けて、コーディネートのワンポイントとして楽しんでほしい」と話す。小ぶりながらも存在感があり、思わずコレクションしたくなるかわいらしさだ。
2人は文化服装学院からの旧友
シャンユーさんと浅田オーナーの出会いは学生時代にさかのぼる。2人は文化服装学院の同級生で、以来長年にわたり親交を深めてきた。ビンテージ小物を巧みに取り入れる浅田オーナーのスタイルは、シャンユーさんにとってインスピレーションの源になっているという。
「恵美はアクセサリーなどの小物使いがいつも上手で、よく参考にさせてもらっています」とシャンユーさん。ダボっとしたメンズライクなウエアをベースにしながらも、「セルズ セルズ」の小物を一点取り入れることで、コーディネートにほどよい抜け感と遊び心が生まれるという。浅田オーナーがいる店舗には何度も足を運び、そのセンスに全幅の信頼を寄せて買い物を楽しんでいたそうだ。
そんなシャンユーさんがショップツアー中に目を留めたのは、1990年代のドッグパターンスカート(1万5400円)。「このスカート、よく見るとピンクと水色のワンちゃんや骨が描かれているんです!普段あまりスカートを履かないのですが、このデザインと絶妙な丈感に引かれて思わず手に取ってしまいました」と、目を輝かせる。
「セルズ セルズ」のアイテムで即興コーデを披露
1 / 2
ショップツアーの締めくくりには、シャンユーさんが店内のアイテムだけを使ったスタイリングを披露してくれた。主役に選んだのは、ドッグパターンスカート。トップスは「ヘインズ(HANES)」のコンパクトな白T(6600円)に同系色のブラジャー(1万3200円)をレイヤードし、足元にはブラックのサマーニットブーツ(7700円)を合わせて甘さをほどよく引き締めた。バッグにはブーツに付属するメッシュバッグを合わせ、スタイリングに統一感を持たせた。
「こういうガーリーな格好はあまりしないので、とても新鮮でした。ちょっとそわそわしちゃいますけど(笑)、『セルズ セルズ』のラインアップはチャレンジしてみようっていう気持ちにさせてくれるんです」とシャンユーさん。
レトロガーリーなビンテージアイテムは、白Tやデニム、ブーツといったベーシックなアイテムと合わせることで、今の気分にフィットするバランスに仕上がる。ビンテージを全身でまとめるのではなく、現代的なアイテムとミックスすることが取り入れやすさのポイントだ。
「直感とトキメキ」が導く、ビンテージの楽しみ方
近年の女性たちのビンテージに対する向き合い方の変化について、浅田オーナーは「古い年代のビンテージからY2K、デザイナーズアーカイブまで、選択肢が広がり自由に楽しむ女性が増えている」と語る。SNSの普及で情報が手に入りやすくなったことで、レディースの古着屋にとどまらず、リサイクルショップやフリマアプリ、メンズ古着店までも探索し、軽やかに買い物を楽しむ女性が増加しているそうだ。
そんな自由なムード漂う市場の中、さらに多くの女性にビンテージの魅力を伝えるため、「セルズ セルズ」がバイイングで大切にしているのが“直感とトキメキ”だ。「まずは『かわいい!』と興味を持ってもらうことが大切。『今』の気分にハマる“ファッションに昇華する物”と、使いやすいわけではないけれど、直感とトキメキを優先させた面白いアイテムをバランスよく提案したい」と浅田オーナー。オンラインストアやSNSでも、着用したときの雰囲気やコーディネートが想像しやすいビジュアル作りを徹底している。
型にはまらず、自分の感覚を信じて自由にアイテムをミックスするシャンユーさんの着こなしは、まさに浅田オーナーが語る“直感とトキメキ”を体現していた。「セルズ セルズ」に並ぶ無数のアイテムの中から、今の気分に直結する自分だけの1点を見つけ出す。その宝探しのような高揚感こそが、ビンテージ本来の魅力なのかもしれない。
シャンユーさんのスタイリングの詳細や、浅田オーナーとの掛け合いの様子は、「WWDJAPAN」公式YouTubeチャンネルの動画で詳しく紹介している。
店舗詳細
■ビンテージショップ「セルズ セルズ」
次回のポップアップ出店は現在計画中
> 「セルズ セルズ」のインスタグラムはこちら
※記事中の商品についての問い合わせは、店舗に直接ご連絡ください。