
「ルメール(LEMAIRE)」は現地時間24日、オペラ・バスティーユのホールで2027年春夏コレクションを発表した。ショーの幕開けを告げたのは、音楽ではなく、街の物音や鳥の声、雨音や雷鳴を拾ったフィールドレコーディングだ。「音楽を使うとどこかクリシェ(つまらないもの)になってしまうからね。むしろ鳥の声や街の音、風や雨のほうが美しいと思ったんだ」。共同アーティスティック・ディレクターのクリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)がそう語ったように、コレクションに通底していたのは「プレゼント(present/いまここにあること)なもの」への意識と、それらを折衷させること。自然や生命、時間の流れ、東洋と西洋。今季のコレクションは、たとえ身の回りにありふれたものであろうと、好奇心をもって観察することが、見慣れた世界を新鮮に映し変えるのだと伝えていた。
東洋と西洋、
開放感とロマンティシズム
メンズで主役となったのは、トロピカルなワードローブ。パームリーフ、きらめく海、移ろう空を描いたプリントに、スモーキーなブラウン、ウォルナット、チョーク、サンド、海を思わせるブルーの色調が、熱帯の生命力を運ぶ。浴衣に着想を得たラップシャツや、軽やかなレザーで再解釈したマンダリンジャケットは、東洋の着想を西洋の仕立てへと翻訳したものだ。一方、1970年代の開放感とロマンティシズムを溶け合わせたウィメンズは、グリーン、鮮やかなレッド、チョーク、オックスブラッド、温かみのあるウッドカラーが自然界と呼応する。樹皮のようなラッカー仕上げのウッドモチーフをデニムにプリントし、サマードレスにはスポーツウエアの要素を組み合わせた。
雨と時間に呼応する、素材の表情
ショーが静寂から一転、雨が降り出し、雷鳴が響くと、モデルたちはフードを被って歩いた。ランウエイに、時間の感覚が流れ込む。服もまた、その流れに呼応する。ガーメントダイのコットンは、時を経て酸化した銅の表面を想起させる色をまとい、ラッカー加工やシルバーコーティングのデニムが控えめな艶を添える。ウェットルックのチンツは、夏の雨に濡れて暗く沈んだ表面を思わせた。
観察が生む、ふいの驚き
紛れもなく日常着でありながら、遊び心があって常に新鮮であり続ける。2027年春夏は、そんな「ルメール」らしさの根源に迫るコレクションだった。クリストフと共にアーティスティック・ディレクターを務めるサラ=リン・トラン(Sarah-Linh Tran)は「見るもの、感じるものの中にいる、ということ。それが私たちのやりたかったこと」と話す。声高に主張せずとも、そこにある自然や生命に好奇心をもち、観察の目を向けることーーそれこそが、ふいの驚きをもたらし続けるのだと教えてくれる。