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マンダムが非公開化で成長戦略を加速 ASEAN市場開拓に本腰

マンダムは9月10日、MBO(創業家と経営陣が参加する買収)を実施すると発表した。株式取得を目的に設立したカロンホールディングスが普通株式を対象とするTOB(公開買付)を行い、同社を非公開化する方針だ。買い付け額は1株1960円で、買い付け予定株数約4050万株で総額793億円を予定する。非公開化が決定した場合、2026年3月期から株主優待制度を廃止する。

マンダムは1927年の創業後、香水や化粧品、石鹸の製造販売を開始。58年にはフィリピンに海外市場参入をスタートした。シンガポール、台湾、タイ、フィリピン及び香港にて合弁会社を設立したほか、93年にはジャカルタ証券取引所(現:インドネシア証券取引所)に上場するなど海外事業の拡大を図ってきた。日本では2002年1月に東京証券取引所市場第二部に上場、03年に東京証券取引所市場第一部銘柄に指定替え、現在は東京証券取引所プライム市場に上場している。

同社は、インドネシアをはじめとするASEANエリアが人口増加や経済成長により将来的な市場拡大の余地が大きいとみている。しかし十分なマーケティング投資ができず、市場環境の変化に対応が遅れたことで競争力が低下し、収益性も悪化。日本市場の成長鈍化も踏まえ、収益性改善やブランド価値向上に向けたマーケティング投資を加速させる必要があると判断した。短期的な業績変動に左右されず、安定した経営体制のもとで中長期的に企業価値を高めるには、非公開化が最善との結論に至った。

公開買付の実施は、日本およびベトナムにおける競争法関連の許認可取得などを前提条件としており、カロンHDは2025年9月下旬の開始を目指す。ただし、特にベトナム当局での手続きに不確定要素が残るため、具体的なスケジュールは改めて通知される見込みだ。今回の取り引きは、マンダムの西村元延・代表取締役会長と西村健・代表取締役社長執行役員ら創業家との協議に基づいて進められるもので、両氏は取引成立後も引き続き経営を担う予定だ。

カロンHDは、CVCキャピタルパートナーズ(以下、CVC)の助言を受けるファンドが間接的に全株式を保有するカロンJグループホールディングスの完全子会社として、25年7月に設立された特別目的会社。CVCは総額約2020億ユーロ(約35兆円)の資産を運用する世界有数のプライベート・エクイティで、日本ではファイントゥデイやテクノプロ、マクロミルなどへの投資実績を持つ。

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