元サッカー日本代表の本田圭佑が最高ビジョナリー責任者(CVO)を務めるエムジーエイチ(MGH)は13日、D2Cスポーツブランド「エムジーエイチ」を立ち上げた。また同日から、第1弾とするメンズアイテムの販売に向けた抽選販売の受付を開始した。
企業名でもある「エムジーエイチ」は、物理学の位置エネルギーの公式「質量(mass)×重力加速度(gravity)×高さ(height)」に由来する。「UNLOCK YOURSELF〜すべての人に今以上の自分に出会う未来を〜」をブランドスローガンに、スポーツに限らず全ての人の内なる可能性を後押ししたいという思いを込めた。創業メンバーは本田CVOに加え、インターネットスポーツメディア「スポーツブル(SPIRTS BULL)」を運営する黒飛功二朗・最高経営責任者(CEO)と、三菱商事繊維本部出身で「エムジーエイチ」の商品開発を手掛ける林周一郎・最高製品責任者(CPO)の3人。
AI×低価格で、“スポーツ版『シーイン』”掲げ、在庫ゼロ目指す
次世代スポーツブランドと位置付ける「エムジーエイチ」の立ち上げ背景には、本田CVOを筆頭に高価格化するスポーツブランド市場に対してのアンチテーゼがあった。そこで生産から販売まで徹底して無駄を排除し、価格に還元するビジネスモデルを構築。AIを駆使したトレンド分析やデザインサンプルの自動生成、実店舗や卸での販売はしないD2Cモデルに特化し、スマートファクトリー化によるロボット生産やファンの声を反映した商品開発と数量の選定などの推進を計画する。
黒飛CEOは「デジタルを駆使した“スポーツ版『シーイン(SHEIN)』”のようなビジネスモデルを想定しながら、ファンとも共創を通じた独自のブランド戦略を掲げ、低価格でありながらワクワク感のある商品を提供していきたい」と話した。
第1弾のテストローンチとして、メンズラインの「エムズコア(M’s CORE)」からブランドの代表アイテムとする4型を抽選販売する。アイテムは半袖Tシャツ(4620円)とハーフパンツ(5720円)、ソックス(1320円)、シューズ(1万3200円)。今月末まで公式サイトで応募を受け付け、1000人限定で販売する。
ウエアは東レと共同開発した2種類の素材を採用する。Tシャツには高機能で滑らかな肌触りの“ニューロフレックス(Neuroflex)”、ショートパンツには通気性とファッション性を兼ね備えた“アクシオン(Axion)”を使用。ショートパンツは、メッシュの通気性に加え、街歩きにも合うビンテージ加工のような風合いもこだわった。ポリウレタン不使用で、リサイクルしやすい点も特徴だ。シューズは靴専門商社のライフギアコーポレーションと協業。ウオーキングやラン、フィットネスなどあらゆるシーンに対応できる安定性とホールド感を追求した設計になっている。
これに続き、10月にはウィメンズラインの「ダブルズコア(W’s CORE)」からも同じように1000人限定の抽選販売を行う予定だ。これらテストローンチの反響をもとに、日常シーンに特化した別ラインの「オールデイアクティブ(All Day Active)」と合わせ、2025年2月にフルローンチを予定している。
本田「高価格になる市場に疑問。勝負を仕掛けたい」
登壇した本田CVOは商品開発にあたり、シューズはスポーツショップを回り、最新シューズを試着し、ウエアは個人的に好きだという「ルルレモン(LULULEMON)」などの素材感や着心地を参考したと明かした。「現役時代はずっと同じブランドのウエアを着て、今もさまざまなスポーツブランドを着用するが、どんどん価格が上がり多様化する市場を見て、改善策はないのかと疑問が多くなった。スポーツを始める子どもや親たちにも買いやすい価格設定とクオリティーが必要だと考えた。『エムジーエイチ』をローンチするために、他ブランドの商品やビジネスモデルについても勉強した。僕にとってブランドビジネスは挑戦だが、経験を積んだ分、勝負できる自信がある。強気に、勝負を仕掛けたい」。