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ホッケー&バスケットボール日本代表が語る“アスリート✖️ビューティ” パリ五輪から1年が経ち新たなステージへ

PROFILE: 左:及川栞/ホッケー選手(東京ヴェルディ所属)、右:宮崎早織/バスケットボール選手(ENEOSサンフラワーズ所属)

PROFILE: 左:(おいかわ・しほり)岩手県出身。3歳からホッケーを始め、2013年に日本代表に初選出。18年、アジア大会で日本初優勝に貢献し、アジア年間最優秀選手にも選ばれる。その後、オランダ1部リーグで3シーズンを過ごし、日本女子初のプロホッケー選手になる。22年、タカラベルモントに入社。東京ヴェルディホッケーチーム選手として日本女子ホッケー界をけん引する 右:(みやざき・さおり)2014年に「ENEOSサンフラワーズ」に入団し、2020-21シーズンにWリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)のベスト5に初選出される。21年の東京五輪では日本代表の一員として銀メダルを獲得。24年のパリ五輪では全3試合に先発出場した。現在は「ENEOSサンフラワーズ」でキャプテンを務める。24年にGATEとマネジメント契約を結ぶ

パリ五輪の熱狂から1年。有観客ならではの盛り上がりを見せた同大会で、日本代表として戦った2人のアスリート、女子ホッケーの及川栞選手と女子バスケットボールの宮崎早織選手。及川選手は22年にタカラベルモントに入社、宮崎選手は24年にGATEとマネジメント契約を結ぶなど、競技以外の場での活躍も始めている。また2人は美容にも関心が高く、特に及川選手は一部のアスリート仲間から「美容番長」と呼ばれるなど、周囲に対して大きな影響力を持っている。ここではパリ五輪の舞台裏や競技への思い、今後の展望、そして美容について話を聞いた。

WWD:パリ五輪はすごく盛り上がった。2人にとってパリ五輪の印象は?

宮崎早織選手(以下、宮崎):女子バスケの拠点は選手村ではなく、リールの方にバスケットボールだけの選手村があって、そこで快適に過ごせたけれど、パリのメインの選手村はけっこう大変だったみたいです。

及川栞選手(以下、及川):私たちはずっと、パリのメインの選手村の方でした。基本2人部屋で共同生活。寝る部屋も2人で、大きい部屋は6〜8人部屋、リビングはシェアといった環境でした。

WWD:試合の何日くらい前にパリに入った?

宮崎:私たちは1カ月前から入って、練習試合などを行なっていました。

及川:ホッケーは1カ月前にオランダに行って、世界ランク1位のオランダ代表と練習試合をしていました。オリンピックを経験していない選手も、世界ランク1位と戦っておけば本番でのサプライズやショックを受けないだろうから。オランダに2〜3週間ほどいて、選手村には大会の1週間前に入村しました。

WWD:実際の試合の対戦相手は、東京と比べてどうだった?

及川:東京では勝てずに終わって、オリンピックという最高の舞台にかけてくる他国の準備の良さを感じました。ほとんど1点差で負けていたので、1点の重みを実感した大会でもあります。さくらジャパン(ホッケー女子日本代表の愛称)は、ロンドン五輪以降、オリンピックで勝てていなかったのですが、パリ五輪で12年ぶりにフランス戦で1-0で勝つことができ、そこでも1点の重みを感じました。12年ぶりの勝利ということで、歴代の先輩たちが残してくれた歴史を、やっと1枚新たなページをめくれた瞬間に立ち会えてすごく良かったと思います。

宮崎:東京は銀メダルという成績だったので、期待もプレッシャーも大きかったですね。私個人としては、東京はお客さんレベルの若手だったので、活躍の機会も限られていました。それに比べたら、3年間努力してパリ行きを勝ち取り、そこで活躍もできたので、すごくやりきれたと思っています。けれどチームとしては悔しい結果だったので、また次の世代の選手たちは、いい結果を残してくれたら嬉しいと思っています。

WWD:東京五輪の後、及川選手はなぜタカラベルモントの社員に?

及川:2022年の1月に入社しました。女性の活躍をすごく応援している会社で、「美しい人生を、かなえよう。」というパーパスがあるんです。ホッケーというマイナー競技にも興味を持ってくれて、「パリ五輪を目指したい」と話したところ「応援したい」と言ってくれて、入社することが決まりました。さらに縁を感じることに、私が子どもの頃に思い描いた将来の夢が美容師だったんです。美容や髪の毛を触ることにすごく興味があって、今でもスキンケアなどにはすごくこだわっています。美容をやりながら、トップアスリートとして活躍できたらすごくパワーになるし、モチベーションも高くいられると思ったことも入社の理由の1つです。入社してから「これやりたい」「こういう風になりたい」という夢はすごく広がりました。

WWD:イベントもプロデュースしている。

及川:つながりのあるトップアスリートを集めて、美容に関する知識をレクチャーしたり、ヘッドスパで癒しを提供したりしています。昨年末に行ったイベントでは、さまざまな競技でトップを歩み続けている日本代表や、元日本代表選手たちが集まりました。彼女らはそれぞれの競技の世界で憧れの存在で、これからもそういう存在でいるために、強いだけでなく美しくあり続けてほしい。1年の疲れをリラックスして取ってもらって、また25年のスタートになってくれたらいいな、という思いを込めて開催しました。

WWD:宮崎選手はなぜマネジメント事務所に?

宮崎:パリ五輪が終わってすぐ、24年の夏くらいに入りました。私自身、「バスケットボールだけが自分の人生の全てではない」と思っていて、実際、引退した後のスパンの方が絶対的に長い。それで「バスケットボールを通して、第2の人生も豊かに楽しく過ごしていきたい」と考えていたときに、タイミングよく声をかけていただきました。「メディア出演を通して、バスケットをよく知らない人たちにもその魅力を届けていきたい」という思いで事務所入りを決断しました。

WWD:結果的に2人とも、現役のスポーツ選手でありながら、広報的な立場でも人前に出る機会が多い。その点でビューティにも気を遣っている?

及川:ホッケーは屋外で行う競技なので、夏は炎天下、冬はかいた汗により肌が乾燥してしまうという過酷な環境で戦っています。毎日保湿パックをしてケアしていますが、もう美白は目指していないです(笑)。理想はどれだけ黒くても、オフ ザ ピッチのところで「顔すごいツヤツヤしてる!」とか言ってもらえることなんです。あと髪をポニーテールにしているので、その髪がパサパサなのは嫌ですね。ポニーテールがきれいに揺れていたり、髪を下ろしたときに天使の輪が見えていたりしたら、「あれだけ炎天下の中でやっていて何でそんなにきれいなの?」みたいに言われて、ちょっと憧れてもらえるかなと。それが強さと美しさを兼ね備える、ホッケー選手としての自分が目指したいところなんです。

WWD:なぜそんなに髪が艶々している?

及川:「エステシモ(ESTESSiMO)」のヘッドスパやシャンプーのおかげです。シャンプーを正しく使って頭皮をきれいにすることで、髪の毛は本当に美しく保つことができます。タカラベルモントに入社してから、「エステシモ」のスキンケアとヘアケアを使っていて、継続することで髪質が変わってきました。

WWD:宮崎さんも髪色とかすごくおしゃれ。

宮崎:バスケの場合、学生時代の部活で髪を短くしないとダメとか、黒くないとダメとか、厳しい規則を経験する人がまだまだ多いんです。だからあえておしゃれでいることで、バスケに憧れる人を増やせたらなと。あとバスケは結構手元が中継に映るのに、ネイルがNGだったんです。理由は「怪我するから」と言われたけれど、ネイルは爪をコートして守ってくれるので、長くなければ逆に怪我しないんです。それをちゃんと説明して、私自身はネイルをするようになりました。

WWD:以前は金髪だった。

宮崎:結構金髪のときが多いのですが、髪の毛がかなり傷んでいたので、傷んでいるところを切って落ち着かせたんです。これからまた金髪になる予定です。

ビューティはパフォーマンスにもつながる

WWD:チームメイトにはおしゃれな方が多い?

及川:代表のチームメイトはほとんどカラーリングしていますね。ただ汗と太陽と、何度もシャワーを浴びる影響で、髪の傷みに困っている人は多いです。だから遠征に行くと、「このシャンプー使ってみて」などと言って、ネタとしてアドバイスしています。そういう美容の女子トークが好きな後輩ばかりなので。

WWD:バスケの代表選手は結構メディアに出ている方も多いが。

宮崎:みんないろいろな髪色をしていますね。髪が短い人たちはド派手にやっていて、逆に長い人たちは落ち着いていて、きれいに手入れしている印象です。やはり自分の好きな格好や髪型をしていると、パフォーマンスもちょっと上がりますね。

及川:それすごくある。

宮崎:鏡を見ると気分が上がりますよね。バレーとかバドミントンはネックレスやピアスがOKらしくて羨ましいです。

WWD:今後の目標は?

及川:アスリートという1本の道だけではなくて、これからさくらジャパンになりたい人に向けたイベントや、女子アスリートと美容のイベントを増やしていきたいです。ホッケーはまだまだ認知が低い競技で、マイナー競技の1つなんです。認知の拡大というところで、ホッケーだけから攻めてもなかなか土台は広がらない。分母を増やすためにも、いろいろな角度から私を知ってもらって、「あの人なんかスポーツしてるよ。あ、ホッケーなの?ホッケーって何?」といった流れで、ホッケーに興味を持つ人をどんどん増やしていきたいです。タカラベルモントに所属しているからこそできるビューティの仕事など、まさにそれですね。アスリートとしては、まだ自分の中でトップを目指して活動していくと決めたので、代表活動や東京ヴェルディで活躍し、魅力を届けていきたいですね。

宮崎:昨年までパリ五輪に向けて突っ走ってきたので、今は自分自身と向き合いながら、チームでの活動を続けています。怪我なくシーズンを終えたいですね。事務所に入って新しいことにチャレンジする機会も増えたので、バスケットボールだけではなくて、違う場所でもたくさんの人に私のことを知ってもらいたいです。そこからバスケットの魅力を伝えていけたらうれしいと思います。

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