東レは2025年3月期決算(IFRS)で、繊維部門の売上高が初めて1兆円を突破した。東レは日本の繊維産業が縮小する中、独自かつ高度な加工技術を加えた糸やテキスタイルを起点に、中国や東南アジア、バングラデシュなどの縫製拠点を最適化してアパレル・小売企業に供給する「グローバルオペレーション」を構築してきた。売上高は前期比3.7%増の1兆111億円、事業利益は同17.3%増の642億円だった。首藤和彦・代表取締役副社長執行役員は「当社にとっても基幹事業である繊維事業が底力があることを示すべく、長年目指してきた念願の売上高1兆円だ。しかもまだまだ成長の余地がある。今後はさらに高みを目指したい」と語った。
19年3月期にも売上高1兆円に迫りながらも、下期で失速し9743億円にとどまり、その後はコロナ禍が直撃するなど、売上高1兆円を目の前に足踏みが続いていた。25年3月期は、構造改革の進んだ東南アジアや絶好調の中国子会社が大きく寄与した。
26年3月期も売上高1兆560億円、事業利益760億円を計画する。中国の内需を取り込み絶好調な中国子会社を中心に好調を維持する考え。