デニム大手のカイハラは4月から、バイオマス原料から製造した新しいインディゴ染料「バイオブルー(BIO BLUE)を使ったデニムの生産を開始した。染料は住友化学が開発しており、再生可能なバイオマスを原料に、微生物発酵を通じて生産する。カイハラは住友化学と共同で100%使いから、従来の石油由来の合成インディゴ染料との併用までの検証を重ね、従来品と遜色のない量産技術を確立した。稲垣博章・執行役員営業本部長は「バイオインディゴは従来品に比べ3〜3.5倍の価格になるため、10%のみを使うといった併用を考えている。もちろん取引先の希望があれば100%使いにも対応できる」という。まずは日本で生産し、染料のコストダウンや発注量によってはタイ生産も視野にいれる。
住友化学は2023年に、合成生物学を応用し人工タンパク質原料などの研究開発と設計を手掛ける米国のギンコバイオワークス(GINKGO BIOWORKS)と提携していた。「バイオブルー」染料は微生物の発酵を利用して生産するため、従来の合成インディゴ染料に比べて環境負荷を大幅に削減できるという。
カイハラはすでに合成インディゴとの併用での量産技術を確立しており、まずはバイオインディゴ10%を配合し、広島県福山市の本社工場でのデニム糸の染色を行う。「今後は『バイオブルー』の供給体制の拡大やコストダウンを見ながら、使用比率を段階的に引き上げていく」(稲垣執行役員)考え。
4月13日に開幕する大阪・関西万博のパビリオン「住友館」でも、「バイオブルー」で染色したデニム生地を使ったバッグなど3本目を出品する。