ワールドグループのエクスプローラーズトーキョーが運営するゴルフブランド「アダバット(ADABAT)」が復調傾向にある。「プロパー消化率が高まり、利益率が上昇。2025年2月期は4期ぶりの黒字化見込み」と、靏博幸(かく・ひろゆき)ワールドグループ常務執行役員兼エクスプローラーズトーキョー社長。25年春は新ブランド「アダバット ストリーム(ADABAT STREAM)」と、新ライン“アダバット ネイビー(ADABAT NAVY)”を立ち上げており、「アダバット ストリーム」のポップアップは上々の滑り出しだという。
コロナ禍中にはゴルフブームという追い風もあったが、「アダバット」はその波をつかみきれず、苦戦していた。靏常務執行役員が24年3月にブランドディレクターに就任し、この1年間で「拡大していた品番数を半分以下に絞り込み、その分、売れ行きが見込める品番の発注を手厚くしたことでプロパー消化率が改善した」。また、ブランド公式LINEを立ち上げ、プロモーション用の動画制作を開始したほか、EC用の写真の撮り方、カタログ制作手法、ショッパーのデザインなど、「あらゆるものをこの1年間で変えてきた」。結果、24年9月以降は、売上高も前年同期比14%増前後のペースで推移しているという。
今春は有力百貨店でポップアップ実施
25年2月までは既存事業の立て直しに注力してきたが、3月からは新ブランド「アダバット ストリーム」と新ライン“アダバット ネイビー”で積み増しを目指す。ブランドの既存顧客が60〜70代中心であるのに対し、「アダバット ストリーム」では20〜50代に向けて、モノトーンを中心としたシャープなイメージを打ち出す。1月末に阪急うめだ本店で行ったポップアップを皮切りに、松坂屋名古屋店、そごう横浜店、高島屋新宿店、高島屋大阪店などでポップアップを実施。また、同じエクスプローラーズトーキョーが運営するショップ、「ドレステリア(DRESSTERIOR)」4店(渋谷スクランブルスクエア、ルクア大阪、京都BAL、アミュプラザ博多)でもポップアップを行い、高感度な客層に新しいイメージを打ち出す(以上すべて、実施済みも含む)。
今春に新ラインとして立ち上げた“アダバット ネイビー”は、既存店内で下げ札などの色を変えて展開。40〜50代を中心対象に、既存ラインよりも若々しく凝ったディテールのアイテムを投入している。“アダバット ネイビー”のイメージに合わせて、一部店舗ではショップの改装も進めている。
「百貨店の中でも有力な館に『アダバット ストリーム』のポップアップに前向きに取り組んでいただいており、一定の手応えを感じている」と靏常務執行役員。19年に百貨店ゴルフ売り場を中心に約80店あった店舗は、苦戦期間をへて現状で39店にまで減少しているが、「『アダバット ストリーム』と“アダバット ネイビー”を立ち上げたことで、取引終了予定だった百貨店で、終了どころか増床することになったケースもある」と語る。今後は、「既存ライン5割、“アダバット ネイビー”4割、『アダバット ストリーム』1割といった仕入れのイメージでブランドを運営していく」。