バトラーつきのペントハウスからソロまで
クルーズの自由度が広がる「飛鳥Ⅲ」の客室
日本のクルーズ文化を牽引してきた郵船クルーズが、34年ぶりに新造客船「飛鳥Ⅲ」を就航する。1年半をかけ、ドイツの「マイヤー造船所」で進水式も終え、2025年7月20日の初航海では船籍港である横浜港に「飛鳥Ⅱ」と並ぶ。「お客さまの好みに寄り添う旅」を提案する「飛鳥Ⅱ」と、「お客さまの好みが広がる旅」を切り拓く「飛鳥Ⅲ」の2隻運航により、日本の新たなクルーズ文化を築く。
「飛鳥Ⅲ」が提案するのは自分好みに広がるスタイリッシュクルーズだ。これまで飛鳥クルーズが培ってきた日本のおもてなしの心は大事にし、あらゆるニーズに応えるべく、多彩な選択肢をそろえている。全385室の客室には全てプライベートバルコニーがあり、居心地の良い空間だ。贅をつくしたペントハウスでは、専門のバトラーサービスも導入。荷解き・荷造りはもちろん、寄港地での個人手配、就寝前の客室でのカクテル提供など、最高峰のラグジュアリーステイをかなえる。空間デザインを手掛けたオリバー・レインが目指したのは、オープンで誰もが受け入れられるデザイン。客室は万葉集をコンセプトに、豊かな秋、爽やかな新緑など、日本の四季や自然を表現している。
リビングエリアと寝室が巧みに仕切られた「ミッドシップスイート」では、これまでにない趣向を凝らしている。各都道府県の魅力が体験できる「ASUKAⅢ meets 47都道府県」というプロジェクトで、それぞれのエリアの多彩な文化や産物に親しんでもらうという試みだ。例えば岩手県をテーマにした客室は南部鉄器や秀衡塗の器をディスプレーし、名産を取り入れたウェルカムスイーツやドリンクでもてなす。今回初めて、1人旅を優雅に楽しめる「ソロバルコニー」を26室設けたことも画期的だ。船内のデジタル化も進め、ワーケーションスタイルにも対応し、タブレット端末によりリアルタイムでの情報を発信する。
グルメやアートの多彩さで
五感が刺激されるクルーズ旅に
食の選択肢の幅広さも「飛鳥Ⅲ」の強みだ。フレンチ、洋食、グリルレストラン、割烹料理など船内では6つのレストランがある。プレゼンテーションスタイルのイタリアン「アルマーレ」では旬の厳選食材がワゴンで運ばれ、調理法を選ぶ食体験も。開放感のある空間で世界各地の名物料理を自由に選ぶビュッフェなど、早朝から深夜まで時間帯にあわせた料理を提供する「エムズガーデン」では、クルーズ旅ならではのグルメを満喫できるだろう。
3層吹き抜けのメーンアトリウム「アスカプラザ」は圧巻だ。開放的な光の層と日本の伝統美が融合したラグジュアリーな空間で、人間国宝の蒔絵作家、室瀬和美氏による高さ約9mの漆芸作品を鑑賞できる。贅沢でありながら、シンプルモダンな落ち着いたデザインと自然を感じる配色にこころ安らぐ。「飛鳥Ⅲ」はレストランやカフェなどのパブリックスペースや各客室に、アート作品が展示され、船内を探検するだけでギャラリー巡りをしたような高揚感を味わえ、空間そのもので日本の芸術文化の多様性を発信している。
心と身体の健康を整える
船首に位置する絶景風呂
自由度の高い「飛鳥Ⅲ」ではウィルネスコンシャスな旅も思いのまま。最上層の11、12デッキには木目のデッキに囲まれたアルバトロスプール、24時間自由に使えるジム、ヨガなどのプログラムを開催する「スタジオA3」やゴルフシミュレーター「ザ・リンクス」などの日頃のエクササイズを継続できる施設が用意されている。
なかでも日本のクルーズ船ならでは見どころは、船首に位置する展望大浴場や露天風呂「グランドスパ」だ。絶景の中で整う「展望サウナ」もあるという。アンバサダーを務める放送作家、脚本家の小山薫堂氏は「どんな名湯でもかなわないでしょう」と語る。最上階の船首はクルーズ船ではベストポジションであり、ドイツ人の技師たちは「船首を浴室にするなんて日本人はクレイジーだ!」と心底驚かれたという。最上の眺めを誰もが使える展望風呂にしたのは、日本ならではのおもてなしの心だ。
旅に寄り添い、広げる2隻運航で
クルーズの可能性を高め、深める
飛鳥クルーズは2025年夏から2隻運航となる。世界一周クルーズは「飛鳥Ⅲ」に引き継がれ、自分好みで楽しめるパーソナライズされた上質なクルーズライフを提案。「飛鳥Ⅱ」では各地方を目的地にした国内外クルーズなどのプランを増加し、地域とのつながりを深めつつ、手軽に楽しめるワンナイトクルーズから「寄り添う旅」のニーズに応える。
3年後の2028年には、郵船クルーズが運航管理を担うオリエンタルランドによる「ディズニークルーズ」がデビューする。クルーズ市場はさらに拡大し、クルーズ旅のありかたもさらに自由になるだろう。