半年前のプレタポルテに呼応したかのように、2025年春夏オートクチュール・コレクションは、“クワイエット・ラグジュアリー”の終焉を印象づけた。こと有力メゾンは改めてクチュールの本質に立ち返って、夢に傾倒。デザイナーはクチュールに強い思いを込め、夢を華麗に、鮮やかに印象付ける花や色、そして光を多用した。(この記事は「WWDJAPAN」2025年2月10日号からの抜粋です)
オートクチュールというファッションの最高峰への強い思いを、今季一番強烈なコレクションと演出で見せつけたのは、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)による「ヴァレンティノ(VALENTINO)」だ。「グッチ(GUCCI)」時代からイヴニングドレスを主軸とする装飾主義の旗手だったミケーレは、クチュールメゾンの「ヴァレンティノ」と出合い、まさに水を得た魚のよう。全48ルックに延べ3万999時間(それぞれに最短200、最長1680、平均645時間)という「気が遠くなる」ほど膨大な時間を費やし、「目もくらむ」ほど華美に仕上げた。こちらの記事で紹介する通り、ミケーレはそれぞれのルックを表現する言葉をリストにしたが、全てのリストは最後を「エトセトラ」で結んでいる。つまり、そのルックにはさまざまなアイデアを詰め込んでいるし、表現する言葉はまだまだ溢れ出てくるということ。オートクチュールへの強い思いを印象付けた。
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