サステナビリティ
連載 エディターズレター:SUSTAINABILITY 第23回

「昔は秋がもっと秋らしかった」なんて郷愁はカッコ悪いから

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長年の知り合いであるワンオーの松井代表との対話の中で「向さんはどのタイミングでサステナビリティについて考え始めたの?」と質問をもらいました。質問をもらうことは、大切なことについて考え直す良いきっかけになります。

一番のきっかけは、2016年頃の秋のミラノの街角での「体感」です。9月に開催される春夏コレクションでは、いかにもな秋の装いでショー会場を訪れるのが常識でした。その時もミラノに到着するとまずは、スピーガ通りの手袋専門店に駆け込んで、レザーのロング手袋を購入。張り切ってウールのジャケットに合わせてショー会場を目指しました。すると‥‥めちゃくちゃ暑い!日差しの強さにめまいがして汗が止まらなく気分が悪くなり「私、何やっているんだ」と苛立ちました。

2000年代前半、秋は今よりずっと秋らしかった

2000年代前半、秋は今よりずっと秋らしく、10月前半でもコートが活躍しました。さらにさかのぼり、自分がデニムメーカーで営業として働き始めた1990年代前半は、先輩から「9月第3週の連休を境に、シャツの売れ筋は半袖から長袖へきっちり入れ替わる」と教わったものです。教えの通りに連休前にシャンブレーの長袖を投入することで売り上げを作れたものでした。そんな話はすっかり昔話です。温暖化が進んだ東京の現在は、10月でも特に半袖の方が快適なくらいですよね。

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