サステナビリティ

衣料品を回収・堆肥化する循環インフラが始動 川島幸美の「リン」などが参加

電子部品メーカーの村田製作所と繊維商社の帝人フロンティアによる合弁会社、ピエクレックス(滋賀・野洲、玉倉大次社長)は、ファッション産業を循環型にすることを目指し、衣料品や衣類雑貨の回収・堆肥化の実証実験を開始した。ピエクレックスが開発したポリ乳酸由来の抗菌機能性繊維「ピエクレックス(PIECLEX)」を使った衣料品や雑貨類を回収して堆肥化し、農業や林業に生かして社会に循環させる。実証実験のために、ファッション企業や自治体、学校法人、農林業関係者と共創パートナーとして連携した。

「ピエクレックス」の原料であるポリ乳酸は、トウモロコシやサトウキビに由来。ポリ乳酸繊維は人が動いて圧力がかかると電圧が生じる「圧電性」があり、それを生かし菌の増殖をおさえるという。「ピエクレックス」と綿やウールなどの天然繊維、一部の生分解性化学繊維を混紡、混織した素材を広げ、それを回収・堆肥化することで「現在、国内で年間50万トンといわれているアパレル廃棄量のうち、まずは1〜2万トンの削減を目指す」(玉倉社長)。

ピエクレックスは自社でもTシャツやタオル、ソックスなどを企画・販売しているが、「自分たちだけでやっていては(デザインの面で)ダメだと痛感した。ファッションである以上、(マーケットの大きな)女性を魅了することが重要」とし、持続可能性の探究を掲げる川島幸美によるウィメンズブランド「リン(WRINN)」と連携。「リン」は2024年春夏に、「ピエクレックス」を使用したジャージーのトップス、ドレスの3型を企画している。「『ピエクレックス』は人の動きで繊維に圧力がかかると抗菌につながるため、タンクトップをレイヤード仕立てにしたり、トップスのフロントにねじりのディテールを入れたりした。タイダイは京都の手染め工場で天然染料で染めている。私が作る服が全ての人に響くわけではないからこそ、色んなジャンルやテーストのブランドが『ピエクレックス』を使用して、循環の文化が世の中に広がっていけばいいなと思っている」と川島。

ほか、エスエスケイが代理店を務めるデンマークのスポーツブランド「ヒュンメル(HUMMEL)」とも連携。「コロナ禍中に抗菌素材を探していたときに『ピエクレックス』を知った。『ヒュンメル』がサポートしているバスケットボールBリーグの滋賀レイクスのユニホームに既に導入している。今後、他のサポートチームのウエアにも順次導入したい」と、エスエスケイの南剛ヒュンメル事業部長。ヒットユニオンによる自転車とファッションを結びつけたブランド「ナリフリ(NARIFURI)」も、「ピエクレックス」を使用した商品を販売している。Tシャツ(9900円)、ショーツ(1万5400円)などに加えて、今秋ポロシャツとカーディガンをラインアップした。

キーワードは「地着・地消・地循」

今回実証実験を始めた「ピエクレックス」の回収・堆肥化のための循環インフラ「P-FACTS(PIECLEX FAbrics Composting Technology Solution)」では、ファッションの「地着・地消・地循」を掲げ、村田製作所の本社がある京都・長岡京市、滋賀・守山市、奈良・田原本町といった自治体や、守山にある立命館守山中高と連携。それぞれ、イベントのスタッフユニホームや記念タオルなどに「ピエクレックス」を採用したり、イベント時に「ピエクレックス」製品を回収したりといった活動から始める。立命館守山中高では、校内イベント用に作成する「ピエクレックス」Tシャツを回収して堆肥を作り、それを校内農園での野菜栽培に生かすという。

堆肥化では、自家製堆肥を使った農業を実践する東京・三鷹の鴨志田農園、奈良を拠点に循環型林業の実現を進めている大和森林管理協会と連携する。「ポリ乳酸繊維は単に土に埋めても2〜3年ではほぼ分解しないため、適切な堆肥化が必要」と玉倉社長。

「P-FACTS」の実証実験キックオフの会見には、「ピエクレックス」のブランドアンバサダーである武井壮も登場。「1年後には、『P-FACTS』に参画する企業や自治体をさらに増やし、25年4月からの大阪万博で世界に発信したい。2〜3年で理想的な生分解性繊維も循環型の仕組みもできるとは思っていない。5〜10年かけてしっかり構築していきたい」(玉倉社長)という。

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