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大丸東京店の「売らない店」 百貨店の編集力×体験で手応え

 4月上旬、大丸東京店4階のショールーミング型ストア「明日見世(アスミセ)」。20〜50代の男女が中央のテーブルに腰かけ、湯が張られた桶の中に足を沈めている。「いい香り」「リラックスできるね」。この日は、同売り場で取り扱っているサステナブルブランド「ヒノキノヒ」のアロマオイルの体験会だ。

 アロマ足湯でリラックスした客は、スタッフに手渡されたタオルの給水力にも驚いた。Bioworks(京都、今井行弘社長)が開発したサトウキビの吸水性と抗菌性を生かしたタオルで、これも「アスミセ」の取り扱いアイテムだ。「(ショールーミングストアは)通常の百貨店売り場と違い、ブランドの魅力を伝えることに専念できる」と嶋谷陵平「明日見世」店舗運営担当。売り場は昨年10月にオープン。ファッションやビューティ、ライフスタイル雑貨などカテゴリーの垣根を超えて新進ブランドの商品を陳列し、3カ月スパンで中身を入れ替えている。売り場の主要顧客層は20〜30代の男女で、百貨店になじみのない消費者との接点にもなっている。

 資金力の乏しいブランドにとって、「明日見世」はリアルで商品の魅力を伝えられる貴重な場だ。売り場中央の多目的スペースでは、前述のアロマオイルとタオルの体験会のように、出展商品を編集、魅力をパッケージ化したイベントで付加価値を生み出す。「体験とストーリー性のある訴求はお客さまに響く」。同月には、「靴下ソムリエ」として知られる西垣和俊氏による足に関する悩み相談会と同氏の靴下ブランド「エコノレッグ」の試着会を同時開催し、延べ30人を集客した。

 出展をきっかけに、取引の発展につながるケースも出てきた。1月〜4月に「明日見世」に商品を並べたフェムテックブランド「オンドミュー(ONDE MIU)」は、大丸梅田店のフェムテック売り場「ミチカケ」でのポップアップ実施が決定した。「明日見世」の売り場ではピンクのマネキンに同ブランドの温活ショーツをはかせるというユニークなプロモーションが奏功。ブランド側からは「リアルでの商品陳列に新しい知見を得た」「EC売り上げに好影響があった」と好評だったという。

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