ファッション

縫製のヴァレイ、神戸コレクションのプロデューサー発掘オーディションを支援

 アパレル縫製のヴァレイ(奈良県上牧町、谷英希社長)は、リアルクローズイベント「神戸コレクション」で開催するファッションプロデューサー発掘オーディションを製造と販売面でサポートする。毎日放送、ライブ動画ストリーミングプラットフォームを運営する「SHOWROOM」との提携によって行う。

 次世代のプロデューサー発掘を目的に、「ファッションプロデューサーオーディションWatashi Made」を3月にスタートした。プロアマ問わず応募可能で、受賞者が企画した服は今年秋の神戸コレクションで披露される。4月16日23時59分まで、オーディションへのエントリーを受付中だ。オーディションの模様は、配信アプリ「SHOWROOM」内で視聴でき、投票結果や専門家による審査を経て受賞者が決まる。プロジェクトの様子はその後も引き続き、同アプリ内で配信する。

 神戸コレクションのプロデューサーの植村仁氏は「日本初のリアルクローズファッションショーとして始まって20年。この間、ファッション業界は大きく変化した。今回のプロジェクトは、日本の職人と次世代のファッションプロデューサーによって生み出されるサスティナブルなモノ作りを実現できるもの。作る方も消費する方も業界を見つめ直すきっかけになれば」と期待を寄せる。

生産、販売、配送を一気通貫で

 ヴァレイは21年11月に始まったデザイナー支援のプラットフォーム「新(アラタシ)」を活用し、デザインから生産、販売までサポートする。神戸コレクションで披露して以降もブランドとして運営していく。

 アラタシは、自身のブランドを持つデザイナーに対して、生産から販売、配送までを一気通貫で支援するサービス。全国約250人の縫製職人を組織する同社の事業「マイホームアトリエ」の仕組みを用いて、小ロットからモノ作りを担う。販売はアラタシのオンラインストアを通じて受注販売する。

 契約は登録制で、デザイナーは2通りの方法で参加できる。1つはアラタシで提案する自社レーベルの新商品をサンプル製作から本生産、出店販売、配送までヴァレイに委託する方法。小ロットであっても安定した高品質な生産が可能になる。2つめは、オンラインストアに出店して委託販売する方法で、コルサンティング料も含めて販売手数料は売り上げの20%。顧客の購買行動をリアルタイムで把握、分析し、PR活動にフィードバックするなどオンライン販売を全面的にサポートする。

 このプラットフォームを利用することで、デザイナーはデザイン活動に集中でき、SNSを使ったファン作りにも注力できる。さらに根強いファンがいるブランドがオンラインモールに出店することにより、集客力の相乗効果が得られるという。

国内の小ロットの生産背景を活用

 同社の谷英希社長はアラタシを立ち上げた理由についてこう語る。「コロナ禍で服が売れないとデザイナーが困っていた。縫製職人の仕事が減ることにもつながるのでデザイナー支援を始めた。そこで見えてきたのが、個人でブランドを手がけているデザイナーはデザインの仕事以外にもやるべきことが多く、その負担が大きいこと。資金調達や梱包作業などヴァレイでできることは任せてもらい、デザイナーは作って売ることに専念してほしい。デザイナーのポテンシャルを最大化し、着実に成長していけることに重きを置いている」

 サービス開始から1カ月で10数人のデザイナーが登録した。「フィルボワール」「カイキ」をはじめ、「ダイチオガタ」「ヤプトゥス」「ジェッシュ」「ホウガ」「サブリマティオ」「ナギサ」などD2Cブランドやデザイナーズブランドなどがすでにサービスを活用している。たとえば、D2Cの「フィルボワール」は、12月にアラタシで販売したところ、2021年度の売り上げを約1週間で達成。そのうち、新規顧客は全体の3割以上を占めたという。

 アラタシの仕組みは、日本の縫製職人の手による受注生産を基本とするため、必要以上に服を作らなくてすむ。これまでの大量生産、大量消費の時代に大きな社会問題となっていた衣料廃棄を極限まで減らすことができる。「小ロット生産で環境負荷を最低限にしながら関わる人たちを幸せにしていく仕組み」と谷社長は胸を張る。

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