ファッション

化学を駆使した「レミレリーフ」の“自然”なデニム加工

 「WWDジャパン」8月7・14日合併号では「デニム」を特集しています。あちこち取材させてもらって、一番驚いたのは今年10周年を迎えた日本ブランド「レミレリーフ(REMI RELIEF)」の加工への試み。デザイナーの後藤豊さんは、化学的アプローチで“自然”なビンテージ感を獲得しています。
「デニムのブルーは生地に付着したインディゴで、そのインディゴというのは突き詰めるとアミノ酸なんですね。そのアミノ酸に水素をあてて炭化させ、落とすんです」と、それなりにデニムと向き合ってきたつもりの記者もチンプンカンプン……。

 ならば!と岡山県児島にある「レミレリーフ」の自社工場まで押しかけました。東京から約5時間かけて向かった先にあったのは、ワッシャー(業務用洗濯機)。「ご、後藤さん、ワッシャーなら何度も見たことがありますが…」。「いや、ベースはワッシャーですが内側のアルミの厚さを調整していたり、コンピューター制御にしていたり、『レミレリーフ』オリジナルの“加工釜”なんです!」と鼻息の荒い後藤デザイナー。「加工釜の中の水素濃度を限りなく100%に近づけて、ジーンズを炭化(経年変化)させています」。この加工法は後藤さんが独自に考案したもの。

 「加工釜というのは回り続けているわけではなく、いったん止まって下に落ちるタイミングでデニムにダメージが入ります」。この原理は家庭用洗濯機と基本的に同じ。「落とす角度を微妙に変えるなど、さまざまなトライをしたいので『レミレリーフ』の加工釜には改造を加えてあります」と後藤さん。「アウトソーシングできればそうしますが、『採算が合わない』と受け付けてくれないんです……」。であれば、自前で工場を構えてやるしかない!と、2009年に児島の工場を取得。さらに加工釜も買い足し、大小合わせ現在7基を所有。

 インタビュー中はイオン、分子、セルロース、カチオン化・アニオン化…など、化学的キーワードが頻出だったのですが、それをガリガリガリと嚙み砕いた記事を8月7・14日合併号の35ページに掲載しておりますので、ぜひそちらもご覧ください(笑)。

 つまりは、こういうことです。一見、ビンテージとは程遠い「レミレリーフ」の化学的アプローチは、自然界で起こっている“水素による経年変化”を加工釜の中で数十倍の早さで再現している、と。「急がば回れ」を児島で感じた夏の日なのでした……。

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