
「サカイ」の次に世界で活躍しそうな東京ブランドは何か。取材をしているとたびたび聞かれる質問だ。ここでは、ブランドスタート10年以下で、弊紙注目の4人にフォーカス。着々とブランドを成長させてきた“「サカイ」神話”に沿って、デザイナー自身が社長であり、展示会からコレクションをスタートしているブランドであることを選定基準に、デザイナーらが今後のクリエイションとビジネスについて考えているコトモノを聞いた。第3段は「タロウホリウチ(TARO HORIUCHI)」のデザイナー、堀内太郎だ。
クリーンなコレクションからにじみ出るアート・フィーリング
日常とファンタジー。過去と未来。自然と科学「タロウホリウチ」の魅力は、相反する要素を絶妙なバランスでミックスし、ウエアラブルでありながら素材やシルエットでひねりを効かせたアイテムを提案しているところにある。そこには、14歳までを日本で、15歳から27歳までを海外で過ごしたことで身につけた堀内太郎デザイナーのハイブリッドな感覚が生かされている。
彼のクリエイションに欠かせないのが、アートとのつながりだ。美術商である父親の影響で、幼いころからアートを身近に感じて育ってきた彼は、「アートは生活の一部。頻繁にギャラリーを訪れたり、作品を買ったりするのは、自分にはごく自然なことだ」と話す。毎シーズン、アーティストやクリエイターとコラボしたアイテムを制作していることも、彼のアートとの関わり方の一つと言える。
「タロウ ホリウチ」2015-16年秋冬コレクション ルックブック ▶︎
「タロウ ホリウチ」2015年プレ・フォール・コレクション 全ルック ▶︎
“画廊に通ったり、作品を買ったり、自分にとってアートは生活の一部”
今季は、“コントロールされた日常”と“コントロールできない時間や自然”から着想し、人工的な素材に動物や自然のモチーフをのせたアイテムを打ち出した。一方、2014年に始めたプレ・コレクションではテーラードコートやワンピースと行った人気の定番を素材違いなのでアップデートしたアイテムを増やしている。その結果、モードからコンサバまで幅広い女性から支持を集め、現在は卸先も百貨店からセレクトショップまで55店を数える。デビューから数シーズン、理想像を追求し、自分で全てをコントロールしていた堀内デザイナーにとっての転機は、東日本大震災があった11年。「『人や社会のために何ができるか』や『自分には何が求められているか』ということをより考えるようになった。コレクション制作でも、いい意味で人に頼るようになった。自分の好みを突き詰めると、日本市場に合わない。だから、他の人の視点を求めたのかもしれない」。より人に寄り添うクリエイションに変化した。価格も見直した。次のステップとしては、海外進出を考え、リサーチをしているという。「日本と海外では評価される部分が全く異なるので、海外に出るならコレクションを変えていく必要がある。課題は、国内外で発表時期の違うプレとメーンのクリエイションをどのように変えていくか。そして、いかに“自分の本当に好きなもの”と“求められているもの”のバランスをとるか。また、海外では誰と組むかということも非常に重要。今は、海外のメゾンで働いている学生時代からの友人と情報交換して、いろいろな人に会うようにしている。もちろんやるからには継続しないと意味がないし、成功しなければいけない」。