「ヴァレンティノ ビューティ(VALENTINO BEAUTY)」は10月28日、初の“オート・ボーテ”商品として“オート・ボーテ GO クッション グロウ”を上海・新天地にある旗艦店限定で発売した。100個限定で、価格は4000人民元(約9万2000円)。カラーコスメが好調な中国市場での事業強化を狙う。
中国でクッションファンデーションが好調 市場の成長を追い風に
同商品の開発は、アジア、特に中国市場でのメイクアップ事業の成長を背景に実現した。ロレアルで「ヴァレンティノ ビューティ」および「ミュグレー ビューティ(MUGLER BEAUTY)」のグローバルプレジデントと、「ミュグレー クチュール」の最高経営責任者(CEO)を務めるクラウディア・マルコッチ(Claudia Marcocci)氏は、「『ヴァレンティノ ビューティ』は米国や欧州を中心にフレグランスで大きな成功を収めてきたが、今、ビューティ業界における有力ブランドへと成長しつつある」と語る。
中国では過去3〜4年間、プレタポルテに位置付けるメイクアップコレクションが好調で、特に“GO クッション グロウ”がけん引している。市場調査会社ストラテジック・レベニュー・インサイツ(STRATEGIC REVENUE INSIGHTS)によると、2025年のクッションファンデーション市場は14億5000万ドル(約2291億円)に達し、その55%をアジア太平洋地域が占めた。
マルコッチ氏は、「ヴァレンティノ」が掲げる女性らしさ、強さ、優雅さ、喜び、クラフツマンシップといった価値観が、中国の消費者に響いていると分析する。また、アジアで主要なカテゴリーの一つであるフェイスメイクカテゴリーを展開していることも成長を支えているという。同地域では、ビューティ市場においてスキンケアに次いでメイクアップの規模が大きい。
製作に10時間、クチュールの職人技を反映
こうした中国市場での好調を受け、ブランドの高級化戦略の一環として「ヴァレンティノ ビューティ」は、ブランドが培ってきたクチュールの技術や美意識を反映した限定クッションファンデーションの開発に着手した。マルコッチ氏は「これまでにない方法で、独自性と卓越性、特別感を備え、メゾンのクリエイティブディレクションに忠実なデザインを目指した」と説明する。
コンパクトの蓋は紫色のベルベットで覆い、金糸やビーズ、スパンコールを用いた天体モチーフをあしらった。「ヴァレンティノ」のアトリエで1つ当たり約10時間をかけて製作し、それぞれにシリアルナンバーを入れた。製作にかかる時間は、同ブランドのジャケットと同等だという。
「AIや偽物があふれる時代だからこそ、手仕事に立ち返る。これこそがオートクチュールブランドの価値だ」とマルコッチ氏は話す。同氏によると、「永遠の都」と呼ばれるローマでは、さまざまなものが大切に保管され、次世代へと受け継がれていく。「この商品でも同じことを実現したい」と語る。
1960年代にメイクアップ製品の工業生産が進む以前、化粧品は憧れの対象であり、家族の間で受け継がれる芸術品でもあったという。「私たちがこの商品を通して伝えたいのは、そうした夢や憧れだ。長く受け継がれ、時を経てもその価値を保つものにしたい」と述べる。クッションファンデーションはレフィル交換が可能で、深い紫色のラッカー仕上げを施した外箱とポーチが付属する。
上海旗艦店を刷新 「ヴァレンティノ」らしいラグジュアリーを伝える
限定クッションファンデーションは、上海・新天地にある「ヴァレンティノ ビューティ」旗艦店の改装を記念したものでもある。同店は21年12月にオープンし、売り場面積は約89平方メートル。今回の改装では、ブランドの高級化とエンターテインメント性を反映した新たなデザインコンセプトを採用した。店舗はアイボリーを基調とし、商品の色彩が際立つように設計。ローマの「ヴァレンティノ」店舗を思わせる、温かみのある雰囲気を再現することを目指した。新しい店舗デザインは、今後展開する「ヴァレンティノ ビューティ」店舗のモデルとなる。現在、直営のビューティ店舗を27店展開しており、中国に25店、マレーシアに1店、サウジアラビアに1店を構える。
マルコッチ氏は、中国市場にはクールさとハイラグジュアリーが融合する土壌があると見る。「ラグジュアリーとは何かを理解する力もある。新店舗を通じて、『ヴァレンティノ』が考えるラグジュアリーの価値を伝えようとしている」と話す。また、「ヴァレンティノ」らしさを「ストリートの中のクチュール」と表現。「人々に心を開いて語りかけるオートクチュールブランドという意味で、これまでの成功を支えてきたのは、まさにこの姿勢だ」と語る。
今後、新たな限定版クチュールビューティ商品が登場する可能性もある。「『ヴァレンティノ』は、パリのオートクチュール界に招待された初のイタリアブランドだ。だからこそ、ビューティにおいても“オート・ボーテ”を初めて手掛けるブランドになりたかった」と語った。
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