英国発のネイルブランド「ネイルズインク(NAILS INC)」を展開するネイルズ インク・リミテッド(NAILS INC LIMITED)のティア・グリーン(Thea Green)創業者が同社を退任する。10月30日付で米「WWD」が報じた。2024年に米投資会社パシフィック・ワールド・コーポレーション(PACIFIC WORLD CORP.)に事業を売却してから2年。売却契約に伴う退任で、1999年の創業から約27年にわたって率いてきた同社を離れる。具体的な退任日は明らかになっていない。
グリーン創業者は退任に際し、「企業の価値を決めるのは、そこで働く人々だ。私は幸運にも、素晴らしい人材と仕事をすることができた。常に最も大切にしてきたのは顧客であり、顧客なしには何も実現できなかった。そして美容業界にも感謝したい。温かく支え合うコミュニティーの一員でいられたことをありがたく思っている」とコメントした。
グリーン創業者は1999年、予約不要で利用できるネイルバーとして事業を立ち上げた。24年には、消費者向けブランドの事業拡大を専門とする米投資会社パシフィック・ワールド・コーポレーションに売却。当時の企業評価額は約3000万ポンド(約62億7000万円)と報じられた。売却後も最高経営責任者(CEO)兼会長を務めていたが、買収契約に基づく追加対価に関する契約期間が終了したことに伴い、退任する。
現在、「ネイルズインク」の製品は米ターゲット(TARGET)やウォルマート(WALMART)、英ブーツ(BOOTS)、スーパードラッグ(SUPERDRUG)などを通じ、世界30カ国以上で販売されている。米国はブランド最大の市場となっている。
ファッションの発想でネイル市場に革新
グリーン創業者は「ネイルズインク」の設立以前、英ファッション誌「タトラー(TATLER)」でファッションエディターを務めていた。創業後も革新的な製品開発を続け、ファッションデザインのような発想でネイル製品の処方を捉えてきた。顧客の悩みを解決する機能性や五感に訴える使用体験、製品に込めたストーリーを重視した商品を次々と市場に投入した。
代表的な製品には、スプレーするだけでネイルカラーを塗布できる製品や、専用ライトを使わずにジェルネイルのような仕上がりを実現するネイルポリッシュなどがある。また、ベースコート、トリートメント、カラー、トップコートの4つの機能を1本に集約し、トップコート不要で60秒で乾くネイルポリッシュ“イッツ トップレス”も開発した。さらに同社は、クレアチンを配合した新たなネイルポリッシュ“ロンジェビティ”を発売予定だ。塗布後の仕上がりが16日間持続することを特徴とし、同社によると、市場にある既存製品を上回る持続性を実現したという。
グリーン創業者がロンドンに初の「ネイルズインク」サロンを開いたのは23歳のときだった。11人の投資家から25万ポンド(約5225万円)を調達して創業。当初は予約不要のネイルバーや百貨店内の売り場を通じて事業を拡大した。初期のサロンは製品開発の実験場としても活用し、数千人の顧客にネイルカラーを試してもらいながら色の開発や検証を進めた。その後、サロン事業から世界各国の小売店を通じた製品販売へと事業の軸足を移した。