韓国の新世界百貨店(SHINSEGAE DEPARTMENT STORE)は10月2日、米ニューヨークの商業施設ザ ショップス アット ハドソン ヤード(THE SHOPS AT HUDSON YARDS)に、Kビューティに特化したポップアップ「ハイパーグラウンド(HYPER GROUND)」をオープンする。約2000スクエアフィート(約186平方メートル)の売り場に30以上のKビューティブランドを集め、12月末まで3カ月間展開する。
参加ブランドの多くは、米国の主要ビューティ小売りにまだ本格進出していない。新世界百貨店はポップアップを足掛かりに、Kビューティブランドの米国進出を支えるプラットフォームとしての存在感を高める。韓国最大のビューティ小売り「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」が数カ月前、カリフォルニア州に米国1号店を開き、「セフォラ(SEPHORA)」の一部店舗でもブランドをキュレーションした売り場を展開するなど、韓国勢による米国市場への攻勢が強まっている。
「ハイパーグラウンド」には、韓国人モデルのアイリーン・キム(Irene Kim)が立ち上げたスキンケアブランド「スキット(SKIT)」や、フレグランスとボディーケアを手掛ける「ミハク(MIHAK)」などが参加する。このほか、メイクアップ、スキンケア、ライフスタイル分野から「ピアー(BBIA)」「オングリディエンツ(ONGREDIENTS)」「ムジャギ(MUJAGI)」「エペ(EPAIS)」「エーゼットエイチ(AZH)」「クンダル(KUNDAL)」「テンダーガーデン(TENDER GARDEN)」「ポール&アンナ(PAUL & ANNA)」「ヨンジャク(YUNJAC)」などをそろえる。
新世界百貨店のパク・ジンギョン(JinKyung Park)=マーチャンダイジング部門ファッションプラットフォームチーム シニアマネジャーは、「単に多くの韓国ブランドを並べるのではなく、今のソウルで何が最も面白く、意味を持っているのかという視点で編集したかった」と説明する。店内はテーマ別のゾーンで構成する。ホーム用品やフレグランスを集めた「ソウル センシズ(SEOUL SENSES)」、ヘアケアや夜のセルフケア商品を扱う「ナイト リセット(NIGHT RESET)」、フェイスケアや美容機器をそろえる「ソウル モーニング&シティ グロウ(SEOUL MORNING & CITY GLOW)」などを設け、週7日営業する。
パリで得た教訓、
「韓国発」だけでは売れない

今回のニューヨーク進出に先立ち、新世界百貨店は2025年、仏パリの百貨店プランタン(PRINTEMPS)で初の「ハイパーグラウンド」ポップアップを開催し、約10ブランドを紹介した。新世界の百貨店事業の25年の総売上高は7兆4037億ウォン(約8140億円)だった。パク=シニアマネージャーはパリで得た最大の学びについて、「海外の消費者はもはや、韓国ブランドだからという理由だけでは興味を持たない」と話す。「消費者はすでにKビューティやKファッションについてかなり深い知識を持っており、なぜそのブランドが重要なのかを知りたがっている。もちろん商品のパフォーマンスは引き続き重要だが、ブランドのアイデンティティーやビジュアルでのストーリーテリング、創業者の物語、現代の韓国のライフスタイルとのつながりも、関心や購買を促す上で大きな役割を果たした」という。
米国では24年以降、Kビューティへの関心が急速に高まっている。「ビューティー オブ ジョソン(BEAUTY OF JOSEON)」「ドクター メラクチン(DR. MELAXIN)」「アヌア(ANUA)」など次世代の韓国ブランドがTikTokを通じて世界の消費者に知られるようになったことが、その流れを後押しした。市場調査会社ニールセンIQ(NIELSENIQ)のデータによると、Kビューティ製品を年間に購入する米国世帯の割合は現在29%に達する。1年前の23%、2年前の19.7%から着実に上昇している。
こうした需要拡大を受け、「アルタ ビューティ(ULTA BEAUTY)」「ターゲット(TARGET)」「セフォラ」など大手小売りは、人気Kビューティブランドの獲得を加速してきた。新世界百貨店も今回のポップアップを起点に、成長する市場で独自のポジションを築く考えだ。パク氏は、「私たちの役割は、単に韓国製品を輸出することではない。新興ブランドを早い段階で見いだし、現地の消費者に合わせてキュレーションし、市場参入への最初の一歩となるプラットフォームを提供することだ」と語った。