
メンズのランウエイで目立ったのは、ブランドのアーカイブや懐かしさに敬意を払いながらも、新しい表現を用いてその世界観を伝えようとするそれぞれのデザイナーの表現手法だった。ランニングをテーマにしながらスポーツウエアにはしない、過去のアーカイブをベースにしながら過去そのものを書き換える、クラシックな正装をテーマとしながら歪さでパッケージングするなど、思想や技法の異なる表現の中に、それぞれの見る東京ファッションの形がある。(この記事は「WWDJAPAN」2026年9月14&21日合併号からの抜粋です)
「ヨシオクボ(YOSHIOKUBO)」
DESIGNER/久保嘉男
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前シーズンに引き続き、“ランナー”にフォーカスした「ヨシオクボ」だが、その表現手法は異なる。スポーツテックをベースとした前回と比べ、“あるがままに走る”架空の民族をテーマとした今シーズンは、モンゴルのテント“ゲル”を中心としたランウエイに、流線形のシルエットや幾層にも重なる薄手のレイヤードで軽やかさを表現したモデルがショーを彩った。ランニングパーツのドローコードで編み込みフリンジを表現するなど熟練の技法も光った。
DESIGNER’S COMMENT

ロサンゼルスの海沿いで見た、汚れたバンから降りてきて、着の身着のままで走り始めたランナーに感銘を受けたのが今回の“ナチュラル・ボーン・ノマド”のきっかけ。ランナーを表現するのにスポーツウエアである必然性はないと考えた。土地ごとの暮らしやスタイルを視覚的に表すものとして、今回のランウエイは以前から引かれていたゲルを舞台にした。今は気候変動もありシーズンレスになっているので、春夏だがダウンや重ね着も表現の中に採用した。
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