「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へのオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月23日号からの抜粋です)
世界には無数のアワードが存在するが、日本の「ベスコス」ほどの影響力を持つものは世界でもまれなのではないか。ベスコスロゴや、「ベスコス50冠」獲得といったワードを提示することがこの世界の最大のステータスとなっている。それが売り上げにつながるのは自明の理。雑誌においても最強のキラーコンテンツであり、これほど見事なマネタイジングの構図はないとも言える。
ただ毎年数千という新製品が登場する中、ベスコス獲得がどれだけ難しいか、もう計り知れないほどで、常勝ブランドでもそれは同じ。ベスコスを取るのが至上命令になっている企業は少なくないし、一体何をどうしたらベスコスが取れるのか?途方に暮れる老舗ブランドはいくらでもある。従って、デビューしたばかりのブランドがベスコスを取るなどほぼ不可能、にもかかわらずPRの契約に、ベスコスを条件にする新規参入ブランドもあるのだ。
しかし初年度にベスコス受賞という例外もある。ただそれは、ファッションブランドが化粧品を作ったり、河北裕介さんのようなカリスマのプロデュースだったり、既に魅力が刷り込まれている場合に限る。ところが例外中の例外と言うべきケースがあったのだ。それが2023年にデビューした「ファス」。しかもたまたまじゃなく、その後も毎シーズン何らかのベスコスを獲得し、早くも常連となっている。まさに奇跡と言ってもいい快挙。一体何がどうすると初年度からベスコスが取れるというのか?
一部にはうがった見方もあったはずが、誰も知らないブランドが忖度で取れるアワードではない。ではなぜ?実は私自身、最初のプレゼンテーションで衝撃を受けた。これほど完成度の高い新ブランドがあるのか?と。確かに「Nオーガニック」を展開するシロクが放ったブランドであるものの、理論もストーリーもデザインも全てが完璧だったから。
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